世界的なセルフィー(自撮り)ブームとあわせて、棒の先端にスマートフォンを取り付けて撮影できる「自撮り棒」が大流行している。日本の観光地でも、人混みのなかでもおかまいなしに先端にスマホがついた棒がニョキッと伸びている光景が増えたが、海外では規制する動きが出ている。
英ロンドンの美術館・ナショナルギャラリーでは3月11日から使用を禁止し、米ワシントンのスミソニアン博物館が追随。仏パリ郊外のベルサイユ宮殿では自撮り棒を持ち込まないよう呼びかけており、近いうちに正式に禁止する予定だという。台湾の鉄路管理局も感電の恐れがあることからホームでの使用に注意を呼びかけた。
国内でも、たとえば東京ディズニーリゾートは三脚などの撮影補助機材とともに使用を禁止している。
「お客様の安全のため、入園時の荷物検査で見かけた際には使用しないようお願いしています。写真撮影が必要なときは気軽にキャストに依頼いただきたいと思います」(運営元のオリエンタルランド広報部)
3月14日に北陸新幹線が開業した金沢駅では、「自撮り棒の使用禁止」の貼り紙が貼られていた。マーケティングコンサルタントの西川りゅうじん氏は自撮り棒ブームについてこう分析する。
「最近の若い人は、スマホで写真を撮ることをプリクラ代わりにしています。プリクラなら機械が写真を撮ってくれますが、スマホだと誰かが撮影しないといけない。観光地では“撮っていただけますか”と他人に頼むのが当たり前でしたが、彼らは『仲間でない人』に撮影を頼むのが煩わしいようです。自撮り棒は、仲間内で写真撮影を完結させるためのツールとして流行っているのでしょう」
観光地に行けばわかる通り、若者だけではなく年輩のユーザーも数多くいる。歩きスマホと同様、加害者になることもあれば被害者になることもある。ユーザーもそうでない人も“自己中棒”には要注意だ。
※週刊ポスト2015年4月3日号