1950年代の読売巨人軍を支えた大型二遊間は、早稲田大学出身のスターとして入団した広岡達朗氏と土屋正孝氏だった。広岡氏は華麗な守備で新人王を獲得、阪神の吉田義男氏とナンバー1遊撃手の座を争った。最近は上手な二遊間がいなくなったと嘆く広岡氏が、素晴らしいと思える遊撃手について語った。
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それにしても最近は遊撃手で素晴らしいと思える選手がいない。人工芝の弊害なのか、遊撃手がゴロを下がって捕る。我々の時代ではありえなかったことです。二塁手がそれに輪をかけたように下手。盗塁で捕手からの送球がワンバウンドすると簡単に後方に逸らす。
まだプロらしいプレーができていた中日の荒木雅博は足が衰えた。ヤクルトの宮本慎也は“名手”と呼ばれたけど、どのような体勢で捕球しても上から送球しようとした。上、下、横と、どこからでも投げられてこそプロです。それでも宮本や荒木は確実性からいえば上手な部類でしたがね。
そもそも、なぜ盗塁が成功するのか不思議でしょうがない。
時計で測れば、走者よりもバッテリーが優利なはずです。投手はクイックモーションが下手だし、ランナーが大きくリードしているにもかかわらず牽制で刺せない。さらにいえば二塁手と遊撃手が二塁ベースへの入り方がわかっていない。ユニフォームや帽子を触ってどっちがベースカバーに入るかやっている。
わざわざサインを決めなくても投手がアウトコースとインコースのどっちに投げるかで、ベースカバーに入る選手は自動的に決まる。これが基本ですよ。もっと先輩の映像を見て守備を勉強しなさいと言いたいですね。
※週刊ポスト2015年4月10日号