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潰瘍性大腸炎 腸内細菌移植療法で治療後半年で症状改善例も

 潰瘍(かいよう)性大腸炎は、年々患者が増加し、現在は13万人以上いると推計されている。ストレスや食生活の欧風化といった様々な要因が重なることで発症し、20~30代が発症のピークだ。

 近年、潰瘍性大腸炎をはじめとする過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、感染性腸炎などの原因として、腸内細菌が関わっていることがわかってきた。腸内細菌は、大腸だけでも約1000種類120兆個いるといわれ、重さは約1キロにもなる。細菌のDNAを調べる次世代シークエンサーという方法が開発され、細菌の種類や存在する割合が分類できるようになった。

 順天堂大学付属順天堂医院消化器内科の石川大助教に話を聞いた。

「腸内は、いろいろな菌が存在する多様性が望ましいのですが、潰瘍性大腸炎では特定の菌が異常に増えたり、減ったりしてバランスが悪くなっています。多様性がなくなっている腸を健常者のようにバランスを整えることで治療するという考え方が、腸内細菌移植療法です」

 人間の腸内は、地域によって環境や食物が違うため、腸内細菌の集団であるフローラも地域特有のバランスが保たれている。腸内細菌は、腸管から栄養を吸収する一方で、病原体の感染を防ぐなど、免疫系にも重要な働きをしている。このように、人間と腸内細菌は共生の関係にある。

 潰瘍性大腸炎では、腸内フローラのバランスが非常に乱れていることが多い。そこで乱れた腸内フローラを正常にすれば、回復するのではと始められたのが腸内細菌(便)移植療法だ。欧米では、すでに一般的に実施されているが、2014年に日本でも臨床研究が始まった。

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