芸能

木村拓哉 『アイムホーム』で「完全に脱皮した」との評価も

 さて、今回のクールの当たり作品はどれか。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が俯瞰した。

 * * *
 いよいよ春ドラマが始まり、注目作がズラリ並んでいます。まずは有名な「原作」があって、ジャニーズが主役を担う3作品をピックアップ。『ようこそ、わが家へ』(フジ系月曜21時)、『アイムホーム』(テレ朝系木曜21時)『アルジャーノンに花束を』(TBS系金曜22時)のスタート具合はいかに?

 ドラマの面白さを創り出す要素は3つある。

 脚本、演出、役者。この3つが、それぞれ力を十分に発揮して、三位一体となって溶け合った時、最高に面白い作品が出来上がるのではないか、と思います。その視点からスタート回を見回せば……。

●『ようこそ、わが家へ』

 原作は、あの『半沢直樹』の著者・池井戸潤氏による同名の小説(小学館)。主役は相葉雅紀。冒頭、のっけから大写しにされた一本の「傘」。印象的にアップされ、次のシーンでもふっと目に入る。また次のシーンでも。

 日常的な道具である「傘」が、物語の助走路を引っぱっていく小道具として効果的に使われる。そして物語の原点となる「事件」の原因の一つにもなる。

 ところが。驚いたことに、原作に「傘」の描写は無い。まさしく、脚本と演出によってドラマ化独自の仕掛けが生まれている。池井戸小説という、いわば骨組みがしっかりとしたフィクション世界の面白さを、いかに映像化しビジュアル表現に落とし込んでいくのか? 冒頭の「傘」一本にさえ、ドラマ作りの工夫と冒険が見てとれる。

 ナレーションも、小説には無い要素。ゆっくりと静かに語る主人公のナレーションが、実に効いている。誰もが抱えていそうな迷いある平凡な人生、日常の中に潜む、はがゆい思いの吐露。ナレーションによって主人公の性格や人物像がしっかりと立ち上がる。キャラクターの輪郭が見えてくる。

 その役を演じる相葉雅紀自身、お人好しでちょっと情けない等身大の現代人になりきれている。そう、ドラマ『ようこそ、わが家へ』の入口は脚本、演出、役者ともに、これからを期待させるに十分の手応えです。

「傘」だけではない。原作とドラマでは、主人公が父から息子へと変わっていたり、オリジナルのキャラクターが登場したりとあちこちに発見が。原作を読みながらドラマ画面を味わう「デュアル」鑑賞法も楽しめそうです。

関連記事

トピックス

麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
【大麻のルールをプレゼンしていた】俳優・清水尋也容疑者が“3か月間の米ロス留学”で発表した“マリファナの法律”「本人はどこの国へ行ってもダメ」《麻薬取締法違反で逮捕》
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
清武英利氏がノンフィクション作品『記者は天国に行けない 反骨のジャーナリズム戦記』(文藝春秋刊)を上梓した
《出世や歳に負けるな。逃げずに書き続けよう》ノンフィクション作家・清武英利氏が語った「最後の独裁者を書いた理由」「僕は“鉱夫”でありたい」
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《麻薬取締法違反の疑いでガサ入れ》サントリー新浪剛史会長「知人女性が送ってきた」「適法との認識で購入したサプリ」問題で辞任 “海外出張後にジム”多忙な中で追求していた筋肉
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さんが綴る“からっぽの夏休み”「SNSや世間のゴタゴタも全部がバカらしくなった」
NEWSポストセブン
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン