日本のテレビ報道の劣化が叫ばれているが、落合信彦氏は先ごろ「ホワイトデーデート」などと批判を浴びた上西小百合衆院議員に関する報道内容についても異議を申し立てる。
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最近、テレビを見ていて唖然としたことがある。国会をサボって男性秘書と旅行に行っていたという女性議員(上西小百合衆院議員)の話が、何十分にもわたって放送されていたことだ。
もちろん、彼女のしたことは、本来なら議員辞職すべき問題であって、そうした観点からの責任追及であればまだわかる。
だがどのテレビ局も、彼女のメークアップがどうだとか、二人の関係がどうだとかといった低俗な話ばかりを追っかけて、全く政治問題とはかけ離れたスキャンダルばかりを流していた。
国会の政治倫理審査会は一体何をしているのか。1985年につくられたにもかかわらず、これまで対象となる議員が自ら申し出たケースを除き一度も審査会が開かれたことはない。審査の対象になる人物などこれまでに相当な数に達していたはずだ。
いまやテレビは、政府やスポンサー企業の顔色ばかりを窺って、政治や経済などの本質的議論を避けている。
報道番組と称しながら、やることと言えば、このような不祥事を起こしたテレビ映えのする女性たちを「弱いスケープゴート」にして袋叩きにすることぐらいだ。
ちょっと前までは小保方(晴子)さんだったが、賞味期限が切れたところにこの女性議員が現れたということだろう。
※SAPIO2015年6月号