国際情報

韓国の世界遺産登録協力 外交3連敗避けたかったとの見方も

 日本の産業革命施設の世界遺産登録阻止に動いていた韓国が、6月21日に開催された日韓外相会談で「掌返し」を見せ、「明治日本の産業革命遺産」23施設と韓国側の登録要請案件について「ともに協力して、登録できるよう努力すること」で一致した。『悪韓論』(新潮新書)等の著書があるジャーナリストの室谷克実氏が、韓国の真意を読み解く。
 
 * * *
 韓国の文化財はというと日本に比べて乏しい。そもそも韓国では歴史的な文化財を保護・保全する意識が低く、それらを重んじる価値観すらない。
 
 たとえば、韓国の世界遺産である、慶州市の仏国寺にある石窟庵は、日本統治時代の1900年代初め、日本人の郵便配達員によって偶然発見されたもので、その寺の僧侶はその存在を知らなかった。
 
 近代以降の産業遺産も同様だ。現存する最古の紡績工場である江華島の朝陽紡績工場跡は、朽ちるに任せた状態だ。
 
 韓国には誇れる産業遺産がないという嫉妬から、日本の世界遺産登録に歴史問題を持ち出して反対しているのだと見る向きもある。
 
 しかし、それ以上に、日本に“外交3連敗”だけは喫したくないという動機のほうが強かったのだろう。
 
 現在韓国は日中韓3か国首脳会談を提案しているが、それが実現されないうちに、今年4月のバンドン会議(アジア・アフリカ会議)で2回目の日中首脳会談が行われ面子を潰された。
 
 4月30日の安倍総理による米議会演説では、韓国政府が画策した演説阻止が聞き入れられなかったばかりか、「アジアへの反省と慰安婦への謝罪を盛り込め」という条件闘争も実らなかった。
 
 今度も明確な形で負けたら、朴槿恵政権は「対日外交3連敗」で、レイムダックは腰ふりすらできなくなり沈むだけだ。勝ったら、日本には「もう韓国は許さない」の声が満ちあふれ、どんな報復に遭うかもしれない。
 
 韓国は現在、中東呼吸器症候群(MERS)感染防止に失敗するなど、いいことなし。何とか対日で光明を見付けようとしたのが、国交正常化50周年に託けた掌返しだった。
 
 それにしても、きのうまで反日告げ口外交をしていた外相が、翌日には「日韓友好」の旗を持って乗り込んでくるこの鉄面皮ぶりは、日本外交が大いに学ぶべきことに違いない。

※SAPIO2015年8月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
大谷翔平(写真/Getty Images)
《昨年は騒動に発展》MLBワールドシリーズとNPB日本シリーズの日程が“まるかぶり” NHKがワールドシリーズ全試合放送することで新たな懸念も浮上 
NEWSポストセブン
森下千里衆院議員(共同通信社)
《四つん這いで腰を反らす女豹ポーズに定評》元グラドル・森下千里氏「政治家になりたいなんて聞いたことがない」実親も驚いた大胆転身エピソード【初の政務三役就任】
NEWSポストセブン
ナイフで切りつけられて亡くなったウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(Instagramより)
《19年ぶりに“死刑復活”の兆し》「突然ナイフを取り出し、背後から喉元を複数回刺した」米・戦火から逃れたウクライナ女性(23)刺殺事件、トランプ大統領が極刑求める
NEWSポストセブン
恋愛についての騒動が続いた永野芽郁
《女の敵なのか?》山田美保子氏があらためて考える永野芽郁「心配なのは、どちらにとっても“セカンド女”だった点」
女性セブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(HP/時事通信フォト)
「私嫌われてる?」3年間離婚を隠し通した元アイドルの穴井夕子、破局後も元夫のプロゴルファーとの“円満”をアピールし続けた理由
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン
小野田紀美・参議院議員(HPより)
《片山さつきおそろスーツ入閣》「金もリアルな男にも興味なし」“2次元”愛する小野田紀美経済安保相の“数少ない落とし穴”とは「推しはアンジェリークのオスカー」
NEWSポストセブン
aespaのジゼルが着用したドレスに批判が殺到した(時事通信フォト)
aespa・ジゼルの“チラ見え黒ドレス”に「不適切なのでは?」の声が集まる 韓国・乳がん啓発のイベント主催者が“チャリティ装ったセレブパーティー”批判受け謝罪
NEWSポストセブン
高橋藍の帰国を待ち侘びた人は多い(左は共同通信、右は河北のインスタグラムより)
《イタリアから帰ってこなければ…》高橋藍の“帰国直後”にセクシー女優・河北彩伽が予告していた「バレープレイ動画」、uka.との「本命交際」報道も
NEWSポストセブン
歓喜の美酒に酔った真美子さんと大谷
《帰りは妻の運転で》大谷翔平、歴史に名を刻んだリーグ優勝の夜 夫人会メンバーがVIPルームでシャンパングラスを傾ける中、真美子さんは「運転があるので」と飲まず 
女性セブン