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中国で実在せぬニセ大学300超摘発 就活用卒業証書1通10万円

 中国では実在しない偽(ニセ)の大学が増えており、中国教育省(文部科学省に相当)は昨年から今年上半期にかけて、300以上もの偽大学の存在をネット上で公開した。大学を卒業できなかった就活生が偽物と知りつつも、就職のために偽の卒業証書を使って内定を得ようとしているためで、悪徳業者が1通約5000元(約10万円)で売りつけているという。

 北京紙「新京報」によると、中国教育省はこのほど、今年上半期に118校もの偽大学を摘発し、その名前を公表した。昨年は210校の偽大学が摘発されており、偽大学は1年半で328校に上る。北京が最も多く、ほぼ半数の152校に達している。

 偽大学は実際の校舎はなく、在校生や卒業生もおらず、インターネット上だけで存在している。ほとんどが、実在している大学の名前と似せた大学名を名乗っている。

 そのホームページは模倣した大学のホームページを借用しているケースが多い。同紙が独自に調査したケースとして、北京工業建築学院(大学)を挙げる。これは北京建築学院のパクリで、ホームページも電話番号も同学院のものとまったく同じだった。

 ただ、同紙記者が実際に電話をしてみると、北京建築学院にかかることから、すぐに同学院のダミーと分かるという。

 もう一つは北京財貿学院だが、これは実在する北京財貿職業学院のダミー。ホームページ上の住所はまったくでたらめで、同紙記者が探してみると、その住所にはビジネスホテルが建っていたという。

 同紙によると、このような偽大学は毎年、摘発されているが、一向に減ることはなく、むしろ全国的に増加傾向にある。その背景には、中国の厳しい就職戦線にある。中国の今年の4年制大学卒業予定者は史上最高の749万人に達するが、このうちの20%に当たる150万人が就職できないとみられている。

 正規の大学卒業者でも20%が就職できないなか、大学を卒業していない若者は絶対的に不利。このため、偽物と知っていても、偽大学の卒業証書を買って、なんとか内定を得ようとする。悪徳業者は彼らの弱みにつけ込んで、金儲けをするというわけで、最も馬鹿を見るのは騙された企業側ということにもなりかねない。

 特に中国事情に疎い日系企業は気をつけた方がよいかもしれない。教育省は企業が騙されないように、同省発行の大学一覧でしっかりと調べるよう注意を促している。

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