名探偵コナンをオマージュした短編に注目
お笑い芸人として初の芥川賞を受賞し、時の人となった又吉直樹氏。芥川賞受賞作『火花』(文藝春秋)の累計発行部数は200万部を突破。8月7日に発売された『文學界』9月号は、又吉氏の受賞後初エッセイが掲載されたこともあり、同誌創刊以来初となる発売前重版となった。
今や又吉氏の関連作品は飛ぶ鳥を落とす勢いで売れているのだが、そうした中で、意外なところに又吉氏の小説が収録されていることが話題になっている。青山剛昌氏の人気コミック『名探偵コナン』を題材にしたムック『探偵女子』(小学館)がそれだ。
同ムックには、コナンの作者・青山氏と笑福亭鶴瓶の対談をはじめ、コナンの世界観を様々な手法で表現した特集が満載だが、その中のひとつとして、又吉氏がコナンをオマージュして書き上げた短編ミステリー小説『悪魔が隣に越してきた』が収録されている。
同作はWEBマガジン『Magalry』内の又吉氏の連載『僕だけ犬に吠えられた』で執筆された小編を元に、大幅な加筆修正が加えられた物語。作中には主人公「僕」の唯一の友人だという博学な「博士」が登場するなど、どこかコナンのキャラクターを連想させる登場人物も話題となっている。
同ムックが発売されたのは、又吉氏が芥川賞を受賞する以前の今年4月。そのため、又吉ファンの間でもこの作品をまだ知らない人も多いのではないだろうか。同ムックの担当編集者は、次のように語る。
「名探偵コナンの全く新しい切り口のムックを企画した時、真っ先に執筆をご依頼したのが又吉さんでした。芥川賞を受賞した『火花』とは異なり、コナンをオマージュして書かれた今回のミステリーは、短編ながらも又吉さんの持つ世界観を十分に堪能できる作品になっていると思います」
コナンが次々と謎を解き明かすミステリーは老若男女問わず大人気だが、はたして又吉氏が描き出したミステリー小説はいかなる結末を迎えるのか。又吉ファンのみならず、コナンファン、ミステリーファンにとっても、最後まで目の離せない展開となるだろう。