逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
神戸市内のマンションで損害保険会社勤務の片山恵さん(24)が刃物で刺され亡くなった事件から4日が経った。殺害現場から逃走していた谷本将志容疑者(35)の逮捕を受けて、8月23日、遺族は弁護士を通じて報道各社にコメントを出した。
〈犯人が逮捕されたと聞き、ひとまず安堵しています。(中略)家族一同、悲しみに暮れ、混乱した状態が続いていますが、せめて安らかに送り出したいとの思いでおります〉
犯行の動機についてはまだ明らかになっていないものの、警察の捜査では犯行前、容疑者が片山さんに対して“つきまとい”をしていたことがわかってきた。在阪全国紙記者が語る。
「捜査関係者によれば事件当日、片山さんが勤務先から帰宅する際に利用した阪神電鉄の神戸三宮駅の構内の防犯カメラに、男の姿が確認されている。県警は谷本容疑者が、片山さんと同じ電車に乗って、自宅まで尾行した可能性もあるとみています」
男が勤めていた会社 の社長によれば、勤務態度は真面目で、40人ほどいる同僚とも問題なく仕事をしていたという。この社長が話す。
「彼はすごく仕事に熱心だったので、去年の12月に資格をとって運行管理者にならないかと打診しました。初めは『考えさせてほしい』と言っていたので、1月にあらためて『どうするんだ。(管理者の試験)受けるのか』と聞いたら、前に勤めていた神戸の建築会社から『戻ってこい』と言われたみたいで。
『申し訳ないですが、運行管理者にはなれません。僕は関西に帰りたいです』と言うんで、結局、平社員として続けてもらうことになった。キリのいいところで〇〇(会社名)に戻って、現場監督を目指すつもりだったようです」
履歴書によれば、容疑者は2006年に大阪府内の高等専修学校を中退後、3年半近く飲食業に従事。2011年から11年間、神戸市内の建築会社に勤めていた。谷本容疑者は長年働いたこの会社から「戻ってきて働いてくれ」と誘われていると言っていたようだ。
しかし──。神戸市の建築会社の社長が語る。