芸能

北大路欣也の振り幅の大きさ 魔王、犬役、かつて変装メイク

北大路欣也は役の振り幅がとにかく大きい

 70才を超えるベテラン俳優でありながら、今、話題のドラマに欠かせない存在なのが北大路欣也(72才)だ。厳格な父親役から、まさかの犬役まで硬軟演じわけられる役者はそうはいないだろう。そんな北大路の「埋蔵量のすごさ」についてコラムニストのペリー荻野さんが綴る。

 * * *
 一年を振り返るのは、まだまだ早いが、おそらく今年、「一番いろいろな役を演じた俳優」のトップは、北大路欣也だろう。ざっと思いつくだけでも、ソフトバンクの犬のお父さんはもちろん、大河ドラマ『花燃ゆ』のお殿様、朝ドラ『マッサン』の作家、『アイムホーム』の父親、『三匹のおっさん2~正義の味方ふたたび~』のおっさん、『刑事七人』の法医学教授、『剣客商売』の老剣客など実に幅広い。

 加えて今秋からは、ドラゴンクエストモンスターズスーパーライトCMで、伝説の魔王「竜王」になって登場している。どっしりとしたマント、ギザギザに逆立った髪、貫録のヒゲ、眼光鋭くにらみつけた魔王は、「もしわしの仲間になれば、世界の半分をお前にやろう」と語りだす。半分て。もらっても困るんですけど?と思ってしまう私のようにまったくゲームと縁のない視聴者が見ても、何やらこの魔王がとてつもない存在だということは一目でわかる。さすがだ。

 が、本当に「さすがだ」と思うのは、2008年、『天と地と』(テレビ朝日系)で、松岡昌弘演じる上杉謙信が崇めた戦の神、毘沙門天の化身役で、すでに人間を超越した役を演じた経験があること。こんなキャリアの持ち主はなかなかいない。『華麗なる一族』『アイムホーム』など、ここ十年くらいの作品で「俳優北大路欣也」を知った人には、想像もできないかもしれないが、この大御所にはまだまだ埋蔵作品がいっぱいある。

 なにしろテレビデビューが、17才だった1960年。ドラマも生放送の時代で、顔のアップを映している最中に衣装を替えたり、クライマックスのいいセリフを言っている最中に放送が終わっていたなんてこともあったという。

 70年代には、映画『仁義なき戦い』シリーズでギラギラした役も多かったが、テレビでは刑事ドラマや時代劇にも数多く出演。なぜか、悪と戦う平四郎(北大路)と相棒(山城新伍)の入浴シーンがよくあった『暁に斬る!』、映画界のスター父・市川右太衛門の当たり役を演じた『旗本退屈男』なども印象に残る。

 中でも私が好きだったのは、『江戸川乱歩の美女シリーズ』。1985年に亡くなった天知茂の後を引き継いだこのシリーズでは、死んだはずの男が事件の真相を語り出し、「あなただ」と犯人を特定。激怒した犯人に「お前はいったい誰…」と言われると、おもむろに顔の変装メイクをべりべりとはがし、明智小五郎(北大路)が颯爽と登場。このシーンが最大の見せ場だった。CGなし、今風の特殊メイクなし、どう見ても、別の俳優と入れ替わっただけでしょ!とこども心に突っ込みを入れた方も多いかも。思わず「テレビって自由!」と叫びたくなるような名場面の連発だった。

 しかし、ここで終わらないのが、北大路欣也遊び心ワールド。2004年、NHK『はんなり菊太郎2』では、自ら志願して変装メイクを施し、ちょい役でカメオ出演をしているのである。私も画面で初めて目撃したときは呆気にとられた。10月からBSプレミアムでこのドラマが再放送される。変装北大路欣也を発見するのも楽しい。

関連記事

トピックス

独走でチームを優勝へと導いた阪神・藤川球児監督(時事通信フォト)
《いきなり名将》阪神・藤川球児監督の原点をたどる ベンチで平然としているのは「喜怒哀楽を出すな」という高知商時代の教えの影響か
週刊ポスト
容疑者のアカウントでは垢抜けていく過程をコンテンツにしていた(TikTokより)
「生徒の間でも“大事件”と騒ぎに…」「メガネで地味な先生」教え子が語った大平なる美容疑者の素顔 《30歳女教師が“パパ活”で700万円詐取》
NEWSポストセブン
ロッテの美馬学投手(38)が今シーズン限りで現役を引退することを発表した(時事通信フォト、写真は2019年の入団会見)
《手術6回のロッテ・美馬学が引退》「素敵な景色を見せてくれた」国民的アニメの主題歌を歌った元ガールズバンド美人妻の想い
NEWSポストセブン
《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
NEWSポストセブン
LUNA SEA・真矢
と元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《80歳になる金婚式までがんばってほしい》脳腫瘍公表のLUNA SEA・真矢へ愛妻・元モー娘。石黒彩の願い「妻へのプレゼントにウェディングドレスで銀婚式」
NEWSポストセブン
昨年10月の総裁選で石破首相と一騎打ちとなった高市早苗氏(時事通信フォト)
「高市早苗氏という“最後の切り札”を出すか、小泉進次郎氏で“延命”するか…」フィフィ氏が分析する総裁選の“ウラの争点”【石破茂首相が辞任表明】
NEWSポストセブン
万博で身につけた”天然うるし珠イヤリング“(2025年8月23日、撮影/JMPA)
《“佳子さま売れ”のなぜ?》2990円ニット、5500円イヤリング…プチプラで華やかに見せるファッションリーダーぶり
NEWSポストセブン
次の首相の後任はどうなるのか(時事通信フォト)
《自民党総裁有力候補に党内から不安》高市早苗氏は「右過ぎて参政党と連立なんてことも言い出しかねない」、小泉進次郎氏は「中身の薄さはいかんともしがたい」の評
NEWSポストセブン
阪神の中野拓夢(時事通信フォト)
《阪神優勝の立役者》選手会長・中野拓夢を献身的に支える“3歳年上のインスタグラマー妻”が貫く「徹底した配慮」
NEWSポストセブン
朝比ライオさん
《マルチ2世家族の壮絶な実態》「母は姉の制服を切り刻み…」「包丁を手に『アンタを殺して私も死ぬ』と」京大合格も就職も母の“アップへの成果報告”に利用された
NEWSポストセブン
ブリトニー・スピアーズ(時事通信フォト)
《ブリトニー・スピアーズの現在》“スケ感がスゴい”レオタード姿を公開…腰をくねらせ胸元をさすって踊る様子に「誰か助けてあげられないか?」とファンが心配 
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン