ビジネス

登場するとROE低下 『私の履歴書』呪い説を日経に聞いた

 日本経済新聞朝刊の文化面に掲載される「私の履歴書」は、功成り名を遂げた人物が自身の半生を語る名物コラムである。

 1956年に始まり、過去には松下電器産業創業者の松下幸之助、政治家の田中角栄、女優の森光子らが登場。今年も元プロ野球選手の王貞治、脚本家の倉本聰といった各界の著名人が紙面を彩っている。

 そんな人気連載に、ある“呪い”が囁かれている。企業の経営に関わった人物が登場すると、その会社の業績が悪化するという〈その「履歴書」は曰(いわ)く付き〉と題されたレポートが、今年6月に岡三証券から発表されたのである。

 このレポートは1996年から2015年までに登場した83社を調査。当該企業のROE(自己資本利益率)の推移を東証1部の平均と比較すると、登場する前々年には東証1部平均を2%上回っていたのに、3年後には4%も下回る結果となった。

 レポートには〈登場したら最後、その後は呪われたかのように決まってROEが低下する〉とある。

 例えば、2007年6月に吉田庄一郎・相談役が登場した大手カメラメーカーのニコンは3年後のROEがマイナス4.5%。2013年4月に渡文明・相談役が出た大手石油販売会社のJXホールディングスは、2年後のROEがマイナス14.2%になっている。

 2014年3月に東芝の岡村正・相談役が登場しているが、同社が「粉飾決算」問題で窮地に陥っていることは周知の通りだ。

 中には好調を維持する企業もあるが、全体的に下がっているのは間違いない。経済評論家の山崎元氏は、呪いの謎をこう分析する。

「日経新聞がオファーを出すのは絶好調が続く大手企業に偏っています。しかし、企業の業績には波があり、長期にわたって好調を維持するのは難しく、いつかは凡庸な業績に落ち着くもの。

 さらに好調時には、過剰な設備投資やM&Aによる事業規模の拡大に走り、業績を悪化させることもあります。その結果、連載に出た時が、業績のピークであることが多いのでしょう」

 日経新聞にとって「私の履歴書」は、有名企業の経営者を登場させることでその企業との関係を深め、その後のスクープや広告出稿につなげるツールとなっている。

 そんな看板コラムに傷をつけかねない“呪い”はさぞや迷惑に違いないが、日経新聞に聞くと、「コメントすることはございません」とのことだった。

 昨年4月以降も、トヨタ自動車、ニトリホールディングス、日立製作所、コマツやキリンビールなど業績好調な大手企業が登場している。“呪い”は、これらの企業にも襲いかかるのか。

※週刊ポスト2015年10月9日号

関連記事

トピックス

各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
理論派として評価されていた桑田真澄二軍監督
《巨人・桑田真澄二軍監督“追放”のなぜ》阿部監督ラストイヤーに“次期監督候補”が退団する「複雑なチーム内力学」 ポスト阿部候補は原辰徳氏、高橋由伸氏、松井秀喜氏の3人に絞られる
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン
メキシコの有名美女インフルエンサーが殺人などの罪で起訴された(Instagramより)
《麻薬カルテルの縄張り争いで婚約者を銃殺か》メキシコの有名美女インフルエンサーを米当局が第一級殺人などの罪で起訴、事件現場で「迷彩服を着て何発も発砲し…」
NEWSポストセブン
「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年11月6日、撮影/JMPA)
「耳の先まで美しい」佳子さま、アースカラーのブラウンジャケットにブルーのワンピ 耳に光るのは「金継ぎ」のイヤリング
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン