そんな中、来年初めに天皇・皇后がフィリピンを訪問する方向で調整中であることが明らかになった。
「国交正常化60年の国際親善が目的ですが、両陛下は先の大戦で約50万人の犠牲者を出した同国に長年、心を寄せられてきた。比島戦没者の碑での供花が検討されており、両陛下が続けてこられた慰霊の旅の続きといえるでしょう」(同前)
今年4月、天皇・皇后はパラオを訪問し、日米合わせて約1万2000人が戦死した激戦地・ペリリュー島の慰霊碑に供花した。体調不良を押してのパラオ訪問では、警備上の都合で巡視船での宿泊となることを理由に見送りを求める声もあったが、「慰霊の旅の集大成と位置付けた両陛下の強い意向で実現した」(外務省関係者)といわれる。
それだけに来年のフィリピン訪問については宮内庁内部や皇室関係者から心配の声も聞こえてくる。
「近年、皇室が取り組んできた“公務の引き継ぎ”が進んでいないのは将来の皇室にとって大きな問題です。両陛下のご負担を考えれば、フィリピン訪問は皇太子ご夫妻が“名代”として行くべきではなかったかという意見も出ています」(前出・宮内庁関係者)
※週刊ポスト2015年11月6日号