国際情報

韓国では会社が社員の病歴をマイナンバーで調べ離職通告も

韓国警察が押収した偽造住民登録証 Yonhap/AFLO

 日本ではマイナンバーの通知が始まったが、同様の制度を半世紀前から導入していた韓国では何が起きているのか。韓国版マイナンバーである「住民登録番号」の流出事件や、番号を悪用するケースが近年、急増しているという。フリーライターの張赫氏がレポートする。

 * * *
 住民登録番号の流出は、韓国社会に大きな波紋を広げている。他人になりすましてカードや携帯電話を作り、悪用するなどの事件ばかりではない。民間企業や個人までもが、住民登録番号を入手し他人のプライバシー情報を“利用”しているのだ。

 中でも顕著なのが、就職活動中の学生や企業で働くサラリーマンの“身上調査”に利用されるケース。

 就職活動中のある大学生は、住民登録番号がきっかけで、企業からの「内定取り消し」に直面した。採用が決まった後、人事担当者から「番号を照会するので教えてほしい」と言われ、そのまま伝えると、後で担当者から「照会した結果、問題があると判断したので、採用は取り消します」と言ってきたという。住民登録番号に紐づけられた個人情報から、その大学生が性同一性障害であることがわかり、「性別と外見が一致しない」ことを理由に企業は採用を取り消したのだ。

 このように、住民登録番号からは病歴なども知ることができる。例えば、あるサラリーマンは、精神科に通院していることが番号照会によって会社に知られ、それを理由に離職を求められた。

 企業が個人の診療記録などを国民健康保険公団(韓国で健康保険制度を運営する機関)から入手すること自体、不法行為であるが、実際には番号さえわかれば情報を得るのは難しくないという。

※SAPIO2015年12月号

関連キーワード

トピックス

筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
日曜劇場『キャスター』で主演を務める俳優の阿部寛
阿部寛、小泉今日子、中井貴一、内野聖陽…今春ドラマで「アラ還の主演俳優がそろい踏み」のなぜ?
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン