経済産業省の市場調査によると、ネット通販(b to C-EC)の市場規模は2014年には12.8兆円に達し、11.1兆円だった前年比15%増を記録した。すべての商取引に占めるネット取引の割合も、同3.85%から4.37%に増加。ちなみに2010年は7.8兆円で2.84%だった。
買われている商品の内訳は、金額ベースでは家電製品や食品・飲料、家具・雑貨などが上位を占める。それだけ急激に消費者に普及していることにはもちろん理由がある。
シニア層にとって最大のメリットは、ネット上で注文するだけで重たいものが玄関まで届く利便性の高さだ。またまとめ買いによって、各サイト独自の割引があり、安上がりで済む。ネット通販コンシェルジュの遠藤奈美子氏の説明。
「たとえばネット通販最大手の『Amazon』では、クリネックスティシューが5箱パックで688円ですが、それを12セットまとめて買うと3540円。単価は半額以下になります。また、数か月に1度買うような日用品なら『Amazon定期おトク便』など、さらに得するサービスもあります」
注文から商品到着までの時間もどんどん短縮されている。経済アナリスト・森永卓郎氏はいう。
「2000年くらいのネット通販黎明期には、送料と配達期日がネックとなって伸び悩むと考えられていましたが、その後、販売業者と配送業者との連携で急速に利便性が上がった。国内最大級の通販サイト『楽天市場』では、約700万点の商品について、正午までに注文すれば翌日に届く『あす楽』というサービスを提供しています。一定金額以上なら送料も無料になるし、もし翌日に届かなかったらポイントが5倍つく」
Amazonなどでは一部エリアへの「当日配送」も実現している。
安さを求めてスーパーを何軒も回るのは過去の話。ネット通販は値段の比較が簡単だ。パソコン上で各サイトを比べられ、「価格ドットコム」などの比較サイトなら同じ商品の最安値を即座に検索できる。
「値段を比べる時に気をつけたいのは、必ず『送料込み』の値段で検討すること。一番安い商品を選んだつもりが、注文してみたら送料が加わって逆に高くなることが少なくありません」(前出・遠藤氏)
※週刊ポスト2015年12月11日号