国内

ろくでなし子裁判 女性裁判長が判決文読み上げ異様な空気に

「『デコまん』が無罪だと聞いて高揚しました! 思いが通じたんだなって」──前代未聞のわいせつ裁判で“一部無罪”を勝ち取った漫画家の「ろくでなし子」こと五十嵐恵被告(44)は、本誌の取材に対し、喜びの声をあげた。

 自身の女性器の3次元データを支援者に配布、さらにそれを象った石膏作品「デコまん」(女性器に着色するなどデコレーションした作品)をアダルトショップに展示したことで、わいせつ物陳列罪などに問われた五十嵐被告の判決が、5月9日、東京地裁で言い渡された。

 3次元データの配布については、わいせつ電磁的記録等送信頒布罪が認められ、有罪判決(罰金40万円)となったが、「デコまん」は無罪となった。
 
 起訴されれば有罪率は99.9%という刑事裁判において、いかにして無罪が認められたのか。以下、判決を振り返る(〈 〉内は判決要旨より)。

 争点となったのは、「デコまん」がわいせつ物かアート作品か、という点だ。

 被告の複数の作品について、〈表面において、大陰唇、小陰唇、陰核などの女性器部分が露わになっている〉ものの、〈多数のラメ加工がされている〉、〈女性器部分の下部に赤字で「MAX」との文字を表した物が貼られ、その隣には黄色のスマイルマークが貼り付けられている〉、〈女性器部分の外縁には、クリーム・ビスケット・苺・真珠様のものが多数配置されている〉などと説明された。

 その姿から、〈本体各造形物が女性器を象ったものだとしても、一見して人体の一部という印象を与えるものではなく、直ちに実際の女性器を連想させるものとはいえない〉という判断が下されたのである。

 ちなみに公判では、判決要旨にあるような文言を女性裁判長が真面目に読み上げたため、法廷内は異様な空気が流れたという。五十嵐被告が言う。

「判決は“女性器がわいせつというのはおかしい”という私の主張が全く汲まれていません。だから即日控訴しました。控訴審では3次元データについても無罪と認めてもらえるように頑張ります」

※週刊ポスト2016年6月3日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

前回は歓喜の中心にいた3人だが…
《2026年WBCで連覇を目指す侍ジャパン》山本由伸も佐々木朗希も大谷翔平も投げられない? 激闘を制したドジャースの日本人トリオに立ちはだかるいくつもの壁
週刊ポスト
高市早苗首相(時事通信フォト)
高市早苗首相、16年前にフジテレビで披露したX JAPAN『Rusty Nail』の“完全になりきっていた”絶賛パフォーマンスの一方「後悔を感じている」か
女性セブン
2025年九州場所
《デヴィ夫人はマス席だったが…》九州場所の向正面に「溜席の着物美人」が姿を見せる 四股名入りの「ジェラートピケ浴衣地ワンピース女性」も登場 チケット不足のなか15日間の観戦をどう続けるかが注目
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
「『あまり外に出られない。ごめんね』と…」”普通の主婦”だった安福久美子容疑者の「26年間の隠伏での変化」、知人は「普段どおりの生活が“透明人間”になる手段だったのか…」《名古屋主婦殺人》
NEWSポストセブン
「第44回全国豊かな海づくり大会」に出席された(2025年11月9日、撮影/JMPA)
《海づくり大会ご出席》皇后雅子さま、毎年恒例の“海”コーデ 今年はエメラルドブルーのセットアップをお召しに 白が爽やかさを演出し、装飾のブレードでメリハリをつける
NEWSポストセブン
昨年8月末にフジテレビを退社した元アナウンサーの渡邊渚さん
「今この瞬間を感じる」──PTSDを乗り越えた渡邊渚さんが綴る「ひたむきに刺し子」の効果
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《中村橋之助が婚約発表》三田寛子が元乃木坂46・能條愛未に伝えた「安心しなさい」の意味…夫・芝翫の不倫報道でも揺るがなかった“家族としての思い”
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
「秋らしいブラウンコーデも素敵」皇后雅子さま、ワントーンコーデに取り入れたのは30年以上ご愛用の「フェラガモのバッグ」
NEWSポストセブン
八田容疑者の祖母がNEWSポストセブンの取材に応じた(『大分県別府市大学生死亡ひき逃げ事件早期解決を願う会』公式Xより)
《別府・ひき逃げ殺人》大分県警が八田與一容疑者を「海底ゴミ引き揚げ」 で“徹底捜査”か、漁港関係者が話す”手がかり発見の可能性”「過去に骨が見つかったのは1回」
愛子さま(撮影/JMPA)
愛子さま、母校の学園祭に“秋の休日スタイル”で参加 出店でカリカリチーズ棒を購入、ラップバトルもご観覧 リラックスされたご様子でリフレッシュタイムを満喫 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、筑波大学の学園祭を満喫 ご学友と会場を回り、写真撮影の依頼にも快く応対 深い時間までファミレスでおしゃべりに興じ、自転車で颯爽と帰宅 
女性セブン
クマによる被害が相次いでいる(getty images/「クマダス」より)
「胃の内容物の多くは人肉だった」「(遺体に)餌として喰われた痕跡が確認」十和利山熊襲撃事件、人間の味を覚えた“複数”のツキノワグマが起こした惨劇《本州最悪の被害》
NEWSポストセブン