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《大河ドラマ『豊臣兄弟!』がスタート》弟・秀長はなぜ主役たりえるのか 「秀長こそが人たらしだった」時代考証担当が明かす“戦国最高の交渉人”の素顔【小和田哲男氏×黒田基樹氏対談】

静岡大学名誉教授で文学博士の小和田哲男氏(右)と駿河台大学教授の黒田基樹氏

静岡大学名誉教授で文学博士の小和田哲男氏(右)と駿河台大学教授の黒田基樹氏

 2026年のNHK大河ドラマは3年振りに戦国時代を舞台にした『豊臣兄弟!』。主人公・秀長の人物像、そして兄・秀吉との関係はどのように描かれるのか。静岡大学名誉教授で文学博士の小和田哲男氏と、今作の時代考証を担当する駿河台大学教授の黒田基樹氏が豊臣兄弟の知られざる素顔を語り合った。

弟・秀長の「おもてなし術」

黒田:豊臣秀長の資料はこれまであまり整理されていませんでした。今回、NHKから『豊臣兄弟!』の時代考証のお話が来たことをきっかけに、秀長に関する資料を可能な限り収集し、検討しました。改めて秀長の役割がいかに重要であったかということに驚きました。小和田さんは、1996年の大河ドラマ『秀吉』の時代考証を担当されましたね。

小和田:はい、当時は堺屋太一さんの原作(『秀吉~夢を超えた男~』)があり、これにかなり寄せて物語が作られました。

黒田:秀吉の武功などを描いたいわゆる『太閤記』をベースにした作品では、秀吉がなんでもひとりでやってのけたように記されているのですが、多くは秀吉を神格化するための物語です。

小和田:当時、私も自著の中で、秀長は秀吉の“黒子”だと表現していたのですが、最近は少し見方を変えました。秀長は黒子ではなく、兄・秀吉の分身、2人でひとりといった存在だったようです。

黒田:秀吉はもちろん天才的な武将だったのですが、支配を広げていく過程で常に秀長の存在があった。彼の大大名たちとの巧みな折衝や情報収集能力がなければ、秀吉は天下人になれなかったかもしれません。

小和田:同感です。そうした意味でも、秀長は大河ドラマの主役に据えるのに相応しい人物と言えるでしょうね。

黒田:秀吉は、徳川家康をはじめ、織田信雄、毛利輝元、大友宗麟など、錚々たる大大名を従属させるのですが、その外交面の交渉を秀吉の名代(代理人)として担当したのが秀長でした。

小和田:それぞれが諸国の大大名なので、相手が秀吉であっても簡単には頭を下げたくない。秀長が取り持つことで“では協力しようか”と、態度を改める。そうした役割を担っていたようですね。

黒田:そのためのおもてなし術もすごい。例えば、毛利輝元らを籠絡するにあたって、秀長は本拠の郡山城(奈良県大和郡山市)に彼らを招待します。この時、秀長自身が城下まで出迎えに行き、茶の湯などで接待しました。

 さらに大坂に移動して、ここでは秀吉による接待が行なわれるのですが、当然秀長も同席しています。秀吉の人たらしエピソードは後世の創作で、秀長こそが人たらしだったと言えるでしょう。

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