国内

差別されている側が差別者に謝罪する例は日本以外になし

評論家の呉智英氏

 沖縄の米軍施設をめぐる警備のなかで、大阪府警の機動隊員が「土人」「支那人」という言葉を使ったことが、今もまだ尾を引いている。評論家の呉智英氏が、「支那」という言葉はそもそもどういう意味を持つのか、そこに差別はあるのかについて解説する。

 * * *
 米大統領選挙でトランプが勝利した。大方の予想を裏切る形になったが、トランプ勝利を予測していた人もごく少数いる。その一人が国際政治学者、藤井厳喜である。この9月に出た『最強兵器としての地政学』で「トランプ候補が当選する」と明言している。

 藤井は、自身の理念や思想はひとまず措き、現実を客観的に分析する。保守派を自認しながら、軍事学的・経済学的な視点から脱原発も唱えている。空想的脱原発論ではないところが重要だ。私は藤井とは以前から交流があり、学ぶところも多いが、トランプ勝利の予測が当たったことに驚嘆した。

 その藤井が、十年余り前、講師として勤めていた某大学で契約更改打切りを通告されたことがある。理由は、藤井が講義中、支那を「支那」(藤井は片仮名の「シナ」を使う)と呼んだことである。

「支那」は支那を呼ぶ世界共通語であって何の不都合もない。支那を差別的に呼ぶ言葉は別にある。「支那」は差別とも侵略戦争とも全く無関係だ。イギリスもポルトガルも20世紀末まで150年間も支那侵略を続けながら、支那を「支那」と呼んでいる。日本の支那侵略は、長く見て50年、常識的に見れば15年(日支十五年戦争)、しかも20世紀半ばに侵略は終わっている。日本とイギリス・ポルトガルとでは、どちらが侵略的か容易に分かるだろう。

関連キーワード

トピックス

STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
水原一平容疑者は現在どこにいるのだろうか(時事通信フォト)
大谷翔平に“口裏合わせ”懇願で水原一平容疑者への同情論は消滅 それでもくすぶるネットの「大谷批判」の根拠
NEWSポストセブン
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
女性セブン
宗田理先生
《『ぼくらの七日間戦争』宗田理さん95歳死去》10日前、最期のインタビューで語っていたこと「戦争反対」の信念
NEWSポストセブン
焼損遺体遺棄を受けて、栃木県警の捜査一課が捜査を進めている
「両手には結束バンド、顔には粘着テープが……」「電波も届かない山奥」栃木県・全身焼損死体遺棄 第一発見者は「マネキンのようなものが燃えている」
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
(写真/時事通信フォト)
大谷翔平はプライベートな通信記録まで捜査当局に調べられたか 水原一平容疑者の“あまりにも罪深い”裏切り行為
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
眞子さんと小室氏の今後は(写真は3月、22時を回る頃の2人)
小室圭さん・眞子さん夫妻、新居は“1LDK・40平米”の慎ましさ かつて暮らした秋篠宮邸との激しいギャップ「周囲に相談して決めたとは思えない」の声
女性セブン
いなば食品の社長(時事通信フォト)
いなば食品の入社辞退者が明かした「お詫びの品」はツナ缶 会社は「ボロ家ハラスメント」報道に反論 “給料3万減った”は「事実誤認」 
NEWSポストセブン