安倍晋三首相は待望のトランプ大統領との首脳会談やゴルフに浮き足立っているが、忘れてはいけない。歴代首相は決まって米大統領と会談するたびに「対等な関係を築いた」「信頼と友好を確認し合った」と日本向けにアピールしてきたが、戦後70年余り、日米首脳会談は「屈辱の歴史」だった。
屈辱的といえば、フランスのアルシュ・サミットの合間に行なわれた宇野宗佑首相とブッシュ(父)大統領の首脳会談(1989年7月)だ。会談時間はわずか6分。挨拶だけで終わりそうだが、内容は過激だった。
ブッシュは米国の小売店の日本進出を可能にする大規模小売店舗法改正、日本企業の米国不動産買い漁りをやめさせるための国内地価抑制などをテーマとする「日米構造協議」の開催を一方的に突きつけたのだ。
宇野内閣はわずか2か月の短命だったが、この「6分間要求」はその後ことごとく実現していった。
麻生太郎首相は2009年2月に訪米し、就任したばかりのオバマ大統領との首脳会談“一番乗り”を果たした。ところが、オバマ大統領とのサシの会談も、昼食会も、共同記者会見もなし。
オバマは本来なら麻生首相との昼食会を開く時間に、ニュースキャスターと食事をしていた。そのうえ滞在先は迎賓館ではなく、ワシントンDCの外れのホテル。
(文中一部敬称略)
※週刊ポスト2017年2月17日号