◆「織田を的に懸ける」
山口組担当刑事も眉をひそめる。
「やりすぎだ。あそこまでコケにされたら黙っていられない。そもそも山健組には反織田派がかなりいて、『万が一、織田が(神戸山口組を)出て行ったら的に懸ける(命を狙う)』と公言していた幹部がかなりいる。井上組長の出身母体は健竜会で、山健組の中の本流だ。新団体の挑発を無視すれば本流の沽券に関わる」
警察は極めて危険な状態と判断しているようで、地元の兵庫県警、大阪府警などはゴールデンウイーク返上で積極的に情報収集に当たっている。
現状はまだ分裂したばかりで、勢力は流動的だ。記者会見の席に座って、マスコミが写真を撮った中にも、すでに神戸山口組に戻った古参組長がいる。もっともここは大所帯で、配下の大派閥は離脱派に残った。分裂すると、傘下団体にねじれが生じるのはいつものことで、記者会見の会場になった古川組も代替わりしたばかりで、先代の二代目組長は神戸山口組に残留している。
神戸山口組は、今回のクーデターの首謀者である織田代表や池田本部長の絶縁状を出したとされるが、離脱派の他の幹部たちに対しては「騙されてあちらに参加した者は、戻ってきても受け入れるのが道理であり情け」(神戸山口組組員)と寛容だ。そうはいっても、裏切り者が冷遇されるのは世の常で、警察は「死ぬまで会費を払わされ、飼い殺しになる」とみている。
5月の連休に入り、織田代表が副組長を務めていた山健組は傘下団体にファックスを送ったとされる。