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「沙知代は世界にひとり」 最期までかばい続けた野村克也

最期まで妻をかばい続けたノムさん

 元プロ野球選手で、ヤクルトや楽天の監督も努めた野村克也さん(82才)の妻である“サッチー”こと野村沙知代さんが12月8日に虚血性心不全で亡くなった。85才だった。

 克也さんと沙知代さんの出会いは1970年。沙知代さん38才、克也さんが35才の時だ。沙知代さんは輸入代理業を営む会社の経営者で、日米を往復するバリバリのキャリアウーマン。アメリカに夫と2人の子供(団野村氏、ケニー野村氏)がいた。一方、克也さんは妻と離婚訴訟の真っ最中だった。

 極貧の幼少期を送った克也さんはテスト生として「南海ホークス(本拠地・大阪)」に入団し、叩き上げで戦後初の三冠王になった大選手。出会った時は南海の選手兼監督だった。

 今でいうところの「ダブル不倫」だった。克也さんの離婚が成立する前の1973年には克則が誕生した。

「1977年、ふたりの関係が大スキャンダルになりました。沙知代さんや息子たちが我が物顔で球場に出入りし、“愛人が打順にまで口を出す”などと報じられ、克也さんは南海の監督を解任されてしまいました」(スポーツ紙デスク)

 その時、後援会幹部に「野球をとるか女をとるか」と迫られた克也さんは、迷わずこう答えたという。

「仕事は世の中にいくらでもある。でも、沙知代は世界にひとりしかいない」

 もう二度と野球はできないぞと言われても「いいです」とその場を立ち去った。

 1978年に結婚。監督の仕事を失い、不安にさいなまれる克也さんを、沙知代さんはたったひと言、こう言って東京に連れ出した。「なんとかなるわよ」。その言葉にどれだけ救われたかわからないと、克也さんはたびたび語っている。

 奇跡的にロッテから声がかかって選手として復帰。1989年、「ID野球」を掲げてヤクルト監督に就任すると、その後の「名監督」としての輝かしい道のりは周知の通り。ただ、いくつかの“つまずき”があるとすれば、それはいつもサッチーがきっかけだった。

 1996年頃からテレビコメンテーターやバラエティータレントとして活躍し始めた沙知代さんだったが、歯に衣着せぬ物言いが災いしてトラブル続き。1998年、ハワイのショッピングセンターで“神田うの(42才)ビンタ事件”を起こすのを皮切りに、翌1999年には浅香光代(89才)が1996年の衆院選立候補時の経歴詐称を告発し、お茶の間を騒がせる“ミッチー・サッチー騒動”が勃発。さらに2001年には2億円以上を脱税したとして逮捕されてしまう。

「2002年3月に有罪判決が出ると、ノムさんは阪神の監督を引責辞任するハメになりました。でも本人は“ワシのためにやったことだから、咎めるつもりはない”と沙知代さんをかばった。実はその時、沙知代さんがさすがに“ごめんなさい”と謝ったそうです。ノムさんは“出会って30年、初めて謝られたわ”と笑っていても、心中では“もう野球人生は終わり”と覚悟していた。でも、そこはさすがの沙知代さん。“弱気になっちゃダメよ”と逆にノムさんを励まし、ノムさんは“これほど心の強い人間はいない”と、死ぬまで一緒に暮らそうと決意したそうです」(野村夫妻を知る野球評論家)

 そうした経緯だけを見れば、たしかに沙知代さんは“悪妻”に違いない。

 だが、克也さんは口癖のようにこう言い続けてきた。「夫婦のことは、その夫婦にしかわからない」。

※女性セブン2018年1月1日号

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