代替わりの日が近づいていることもあり、今上天皇や皇室についての報道が増えているが、果たして我々はどれだけ「天皇」や「皇室」について知っているのだろうか。NHKの記者時代に宮内庁も担当したジャーナリストの池上彰氏が、皇室のお財布事情について解説する。
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「皇室はお金持ち」とのイメージがありますが、実は皇室には私有財産がありません。憲法第88条は、「すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない」と定めます。
具体的な皇室の費用は、(1)天皇皇后両陛下と皇太子一家の私的な費用である「内廷費」、(2)皇族としての品位を保持するために秋篠宮一家をはじめとした宮家に支出される「皇族費」、(3)宮内庁が管理する公金である「宮廷費」の3種類。
食費、被服費、私的な交際費、宮中祭祀にかかる人件費などを含む「内廷費」は年額3億2400万円で、1996年度から変わりません。
秋篠宮一家などに支給される「皇族費」は、2018年度で推定6710万円です。2019年に新天皇が即位されると、秋篠宮殿下は皇位継承順位1位の「皇嗣」となり、皇族費が一挙に増額され、19年度は推計1億2810万円が支給されます。
「宮廷費」は毎年細かな用途が公表されており、2018年度の宮廷費(政府案)は「儀典関係費」「宮殿等管理費」などで総額91億7145万円です。
●いけがみ・あきら/1950年、長野県生まれ。慶應義塾大学卒業後、1973年NHK入局。報道局記者や番組キャスターなどを務め、2005年にNHKを退職。ジャーナリスト、名城大学教授、東京工業大学特命教授。著書に『池上彰の世界の見方 ロシア』『考える力がつく本』(小学館刊)、『池上彰の「天皇とは何ですか?」』(PHP研究所)などがある。
※週刊ポスト2019年1月1・4日号