「ところがいざやってみると、きちんとした計画ができない。福田氏のつくった実施計画の素案を見て財務省が激怒したのです。ごく簡単にいえば、財務省は関空の借金返済にこだわっていたが、彼の素案では、仮定の計画ばかりで現実には返済のあてがないという内容。それでメンバーを替え、再び検討し直した。しかし彼は、解決策を探っていくギリギリの議論についてこれなかったのかもしれません。いつの間にか、検討会に参加しなくなり、懇意の村井知事の進める仙台空港に乗りかえていきました」
これでは会社にも居づらくなったのかもしれない。そうこうしているうち、福田は新日本有限責任監査法人を退社してしまう。気づくと、内閣官房長官補佐官に就任していたという。
「竹中先生はずっと福田氏を使ってきましたから、福田氏が竹中先生に相談し、菅官房長官に推薦したのではないでしょうか。それで、2015年12月の年の瀬になり、官房長官が補佐官就任を記者発表した。さすがに驚きました」(関空関係者)
2016年1月1日付で官房長官補佐官に就任した福田は、以前にも増して権勢を振るうようになる。同月に開かれた内閣府PPP/PFI推進室の「PPP/PFI推進タスクフォース全体会合」第1回では、議長の和泉に次ぐナンバー2の議長代理として参加。水道コンセッションのほか、北海道7空港の民営化を取り仕切っていく。(以下続く)
【PROFILE】森功(もり・いさお)/1961年福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。新潮社勤務などを経て2003年よりフリーに。2018年、『悪だくみ 「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』(文藝春秋)で「大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション」大賞を受賞。近著に『地面師』(講談社)。
※週刊ポスト2019年2月1日号