高卒2年目を迎える巨人の秋広優人の背番号が「68番」から「55番」に(写真/共同通信社)

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ドンとの確執

 そんな機運が一転、松井監督消滅説が飛び交う背景には、これまでの監督の“系譜”も関係しているという。

「巨人軍監督には大きく二つの系統があるとされており、一つはV9を達成した川上哲治監督の流れと、もう一つはそのV9時代に活躍した長嶋茂雄の流れです。二大派閥とも言える系統が次の監督を送り合ってきた歴史があります。

 不振にあえぎ1981年に長嶋監督からバトンタッチされたのは川上監督時代の投手コーチだった藤田元司で、川上派が政権を取り戻したとも言われていた。今回新たに3年契約を結んだ原監督も川上派とされており、引退後に一時『NHKプロ野球』の解説者になったのも川上、そして恩師と仰ぐ藤田の流れからだったとの話もあります。

 全権監督として再任し、地位を確立させた原監督がいる以上、長嶋派と見られている松井が監督を継ぐことは難しい」(同前)

 また今回原監督が行なった組閣で“阿部慎之助次期監督”が決定的になったとも言われている。

「今シーズンの10月まで二軍監督だった阿部は、『作戦兼ディフェンスチーフコーチ』という球団初のポストになったが、これは原監督の隣で帝王学を学ぶ期間ということでしょう。キャリア的に見ても松井のほうがはるかに上。世代交代した阿部以降に松井が監督になる可能性は考えにくい」(スポーツ紙記者)

 今回の人事は、巨人OBから見ても複雑なようだ。巨人でセットアッパーとして活躍した前田幸長氏が語る。

「原さんが3年契約で、次期監督が阿部慎之助。これが既定路線でしょうね。僕はもう松井秀喜監督はないと思います。もちろん過去には巨人もオファーを出したと思いますが、松井が受けなかったんじゃないでしょうか。松井は周囲にニューヨークでは自由に生活できるが、日本では騒がれて家族に迷惑をかけると……。プレッシャーではなく、そういった理由で監督就任を断わっていると聞いたことがある」

 加えて、巨人監督人事にいまだ大きな影響力を誇る読売新聞グループの“ドン”渡邉恒雄氏との関係も大きな影を投げかけているという。別の読売関係者が語る。

「松井が巨人軍の監督候補に名前が挙がり始めたのは、ヤンキースのGM特別アドバイザーに就任した2015年の頃でした。それはメジャーで野球の勉強というのが表向きの理由でしたが、メジャー移籍の時のナベツネ(渡邉恒雄)さんとの確執がまだ尾を引いているためとも言われていた。

 実際、ナベツネさんはラジオ番組で『松井とイチローだったら、指導者としてどっちが欲しいか』という質問に対して、『イチローだね』と迷わず答えるほどですからね」

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