王、落合、松井は終盤に「2試合に1本」ペース
30本到達が遅かった90試合台の3人は残り何試合で20本以上積み上げたのか。残り試合の1試合当たりの本塁打率とともに見てみよう。
【年:名前 残り試合数と本塁打数 1試合当たりの本塁打率(50本到達試合)】
1977年:王 40試合で20本 0.500(129試合目)
1985年:落合 39試合で22本 0.564(128試合目)
2002年:松井 45試合で20本 0.444(139試合目)
程度の差はあるが、約2試合に1本打っていた。岡本が50本に届くためには残り46試合で20本(1試合当たりの本塁打率0.435)が必要になる。当時よりも試合数が多いため、計算上では、当時の王、落合、松井よりペースが遅くても届く。それでも、かなり打ち込まないといけない状況に変わりはない。
今年の岡本は97試合で30本(1試合当たりの本塁打率0.309)。過去最短の92試合で30本に届いた2021年は、その後の51試合で9本(1試合当たりの本塁打率0.176)と量産できなかった。この2つを見れば、そう簡単にクリアできる数字とは思えないかもしれない。
だが、岡本は最近5試合で8発と量産している。上記3人の8月以降の固め打ちは以下になる(連続4試合以上で試合数と同じ以上のホームランを打った例)。
【1977年:王】
6試合6発(88~93試合目)
5試合5発(96~100試合目)
7試合7発(117~123試合目)
【1985年:落合】
5試合5発(71~75試合目)
5試合6発(91~95試合目)
4試合6発(104~107試合目 ※110試合目まで伸ばすと7試合7発)
4試合5発(127~130試合目)
【2002年:松井】
4試合5発(136~139試合目)
夏場以降に打ちまくって50本を達成した3例も、岡本のような「5試合8発」は記録していない。つまり、残り46試合で20本というハードルは高いが、岡本なら達成の可能性があるのではないか。王貞治、松井秀喜に次ぐ巨人3人目、日本球界11人目の50本到達は充分期待できると見た。
*参考文献:「ベースボール・マガジン」2012年1月号
■文/岡野誠:ライター、松木安太郎研究家。NEWSポストセブン掲載の〈検証 松木安太郎氏「いいボールだ!」は本当にいいボールか?〉(2019年2月)が第26回『編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞』デジタル賞を受賞。翌年、〈長寿番組『笑点』、“小遊三の下ネタ率”から分かる番組の変化〉(2020年8月)で連続受賞を狙うも達成ならず。著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)発売中。