国際情報

中国の学者 「沖縄の主権は中国に属する」と叫び始めている

漁船激突事故に端を発する尖閣諸島問題だが、危ないのは尖閣諸島だけではない。中国は「沖縄も日本に不法占領されている」とまでいい出したのだ。

9月19日、中国大手紙『環球時報』が、「沖縄は日本の領土ではないのだから、日本は釣魚島(尖閣諸島の中国名)について中国と対話する資格はない」、との論文を掲載した。筆者は、在日中国大使館勤務経験がある商務省の研究者、唐淳風氏である。

いわく、「中華琉球王国」(沖縄のこと)は一貫して中国の属国だった。明治政府が不法に侵略・占領したが、現在の日本には沖縄の主権はなく、米国から行政管理権が認められているだけ。しかも、「沖縄では住民の75%が日本からの独立を望んでいる」というのだ。

これについて、中国情勢に詳しい宮崎正弘氏は、「かつて琉球は中国だけでなく薩摩藩にも朝貢していたし、現在の沖縄に独立派はほぼ皆無。完全なでっちあげ」と一蹴。その一方で、論文の意図をこう分析した。

「中国は沖縄を独立させようとしているのです。そうして沖縄と安全保障条約を結び、自軍を駐屯させると。今までもチベット人やウイグル人の土地を、そのやり方で奪ってきましたから」

声高に叫んで無理を通すのは中国の常套手段。昨年12月には歴史研究者らがシンポジウムの席で「琉球処分にも沖縄返還にも国際法上の根拠はない」との主張を展開、中国社会科学院日本研究所の学者・呉懐中氏は「沖縄の主権は中国に属する」とまで断言している(新華社8月20日付)。

まだ一部の意見とはいえ、中国においては、こうした学者の発言は、政府の意向を受けたものであることが多い。彼らは、日本の反応を注意深く見ているのだ。

※週刊ポスト2010年10月8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン