ビジネス

ワタミ・渡邉美樹会長が明かす「250円居酒屋」の勝算

ワタミ「仰天酒場」


 若者が集まる東京・渋谷では、“均一居酒屋戦争”が勃発している。センター街を歩けば、「全品270円」などと書かれたのぼりが何本も目につく。全メニューを300円以下の均一価格に設定した低価格居酒屋は、渋谷だけでなく全国で出店ラッシュを繰り広げている。激烈な安売り合戦の中、ワタミはこの8月、ビールやカレーなど全メニューの7~8割を250円で提供する新業態の居酒屋「仰天酒場 和っしょい2」1号店を東京・五反田に開店。その狙いと勝算はどこにあるのか、渡邉美樹会長に聞いた。

******************************
--ワタミも低価格店を出店したが、安売り合戦に参入したということでしょうか。

「乱立している低価格居酒屋にお客さまの一部が流れてしまったのは事実ですが、同じことをやるつもりはない。低価格居酒屋のブームで顕在化した新たなニーズに対応するということです。実は低価格居酒屋は、居酒屋だけでなく、立ち飲み屋の顧客も奪っている。退社後に1杯だけ飲んで帰りたいとか、あるいは30-40分程度利用したいといったニーズが拡大してきているのです。そこで、ワタミとして出した回答が『仰天酒場』。プリペイドカード方式の料金支払いシステムやお客さまが料理やお酒を取りに行くセミセルフ方式を導入することで、『和民』でなら1皿400円の料理を250円で提供できるようにした。『和民』とは方向性が違いますが。料理やサービスの質は落とさないということです」

--昨年2月には「和民」でビールの値下げを実施されましたが、効果はありましたか。

「ビールを値下げしたら、客数は増加しましたが、客単価が下がるので、結局、売上は横ばいでした。実験的に何店舗かでビールの価格を20円値上げしてみたら、不思議なもので、客数は少しだけ落ちるんです。まるで神さまが“今年の『和民』の売上はいくら”とパイを決めているかのよう(笑)。しかし、ビールを値下げするとそのしわ寄せが料理に及ぶので、今後は元の価格に戻し、料理の質を上げる方向に転換する予定です」

(渡邉会長の「邉」の字は正式にはしんにょうの点が1つ)

■聞き手/清水典之(ジャーナリスト)

※SAPIO2010年10月13・20日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
19歳の時に性別適合手術を受けたタレント・はるな愛(時事通信フォト)
《私たちは女じゃない》性別適合手術から35年のタレント・はるな愛、親には“相談しない”⋯初めての術例に挑む執刀医に体を託して切り拓いた人生
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左・共同通信)
《熊による本格的な人間領域への侵攻》「人間をナメ切っている」“アーバン熊2.0”が「住宅街は安全でエサ(人間)がいっぱい」と知ってしまったワケ 
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン