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「Palm」大ヒットの延長にスマートフォンあると神足裕司氏

 電車で車内を見渡せば、「スマートフォン」の画面を触って操作している人たちで溢れている。なぜ、人々は「スマートフォン」に惹かれるのか、コラムニストの神足裕司氏が分析する。

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 私は個人的にパソコンや携帯情報端末というものに興味があるので、10年以上ウォッチを続けている。

 1997-99年頃の話だが、アメリカで「Palm」という携帯情報端末が大ヒットした。タッチパネル式の電子手帳で、年間100万台以上を売り上げ、現地では「持っていない奴はアホ」とまで言われるほどの大ブームだった。

 10年以上経った今思い返すと、非常に陳腐な機械なのだが、「手のひらの上で操作できて、全てが手に入る」という端末はずっとコンピュータ業界の夢であり続けてきた。「Palm」とは英語でそのまま「手のひら」の意味。その流れの中で生まれたのがスティーブ・ジョブズ率いるアップルの「iPhone」に代表されるスマートフォンだ。

 しかし、よくよく考えてみると、この「iPhone」のような端末が、最初に日本で開発され、発売されていたら非難囂々で全く売れなかっただろうと私は思う。現在のスマートフォンは、バッテリーの性能が機能の豊富さに追いついていないから、すぐに電池が切れるという欠点がある。日本製ならまずそのことに不満が噴出するはずだ。

 けれども「アメリカ人がみんな楽しそうに使っている」と説明されると、日本人は不平不満を言わなくなる。さらに、いち早く手に入れた日本人が格好良く使いこなしているように見えると、簡単にその“魔法”に引っかかってしまう。そう断言できる。なぜなら私もその一人だからだ(笑)。

※SAPIO2010年11月10日号

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