ビジネス

このまま日銀の信用が失墜なら「ハイパー円安」がやって来る

ニュースの裏に隠された真相とタブーをジャーナリストの須田慎一郎氏が暴く。

* * *
日本の長期金利が上昇し始めている。アメリカの追加金融緩和策の後退によって上昇した米金利につられたものだが、ペースがあまりに速い。

去る12月2日には、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが、約5か月ぶりに1.2%ラインを突破した。 金利の上昇とは、債券価格の下落を意味する。つまり各社の債券ディーラー達にとってみれば、保有債券に含み損が発生することになる。

「ここ最近の国債マーケットは、まさに売りが売りを呼ぶ展開になっている。はっきり言って、暴落一歩手前だ」(大手金融機関の債券ディーラー)

こうした状況の中、必死になって国債を買い支えているのは日銀だけなのだという。メガバンク幹部は語る。「何せ日銀のポートフォリオは、半分近くが国債によって占められているのが実情です。国債価格が下落して最も大きな影響を被るのは、他ならぬ日銀だからです」

いずれにしても国債価格の下落(金利は上昇)は、日銀の信用低下に直結する。そして日銀の信用低下は、円の価値の大幅な下落、つまりハイパー円安につながるのだ。

「行き過ぎた円高に苦しむ日本経済にとって、ハイパー円安と言ってもピンとこないかもしれませんが、充分に起こりうるシナリオです。そして今の景気情勢で円安に振れていったならば、間違いなくスタグフレーションに陥ることになります」(前出同)

つまりここへきての長期金利の上昇は、マーケット関係者にそうしたネガティブシナリオをも想定させてしまうほどの不気味な動きだった。 「しかしそうした悲劇的な状況が発生するのは、少なくとも長期金利が2.0%ラインを突破してからの話」(前出同)

さて日銀が今後どのような動きを見せるのか、長期金利の動向とともにマーケット関係者は固唾を呑んで見守っている。

※SAPIO2011年1月6日号

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン