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果たして花見は本当に不謹慎なのか 呉智英氏が解説

 東日本大震災以降、日本中に「自粛」ムードが漂っている。その中でも「花見」を自粛する向きもあるが、果たして本当に花見は不謹慎なものなのか。

 評論家の呉智英氏の指摘は興味深い。
 
「花見は古来、日本人が季節の移ろいを花に感じて、生きていることや自然に感謝することから始まった行事といえます。花見の背景には、アニミズムと通ずる日本人独特の宗教観がある。富士山の姿を見て畏敬の念を抱く信仰があるように、1年のうちわずかな期間だけ咲いて散る桜の美しい姿に、神聖なものを感じる人は少なくない。

 確かに近年では、花見といえば酒に溺れて醜悪な姿を見せる酔客の姿ばかりがテレビなどで取り上げられている。だから“不謹慎”というイメージが伴ってしまう。しかしほとんどの人は節度を持って桜を愛でているはずです。震災後の花見であればなおさらでしょう。行政が率先して花見を自粛する必要はない」

 いずれ被災地にも桜は咲く。どんな悲劇が起こっても、季節は変わらずやってくるのである。被災者は、この桜をどのような思いで眺めるのか――こんなときだからこそ、我々はそんな思いを胸に秘めながら、友と酒を酌み交わしてもいいのではないだろうか。

※週刊ポスト2011年4月15日号

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