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避難所には都職員を装い被災者の世話する東電社員がいる

 原発事故の影響で、福島県いわき市などから約200人が避難してきている東京武道館(足立区)。天皇皇后が慰問に訪れたこともあり、マスコミの注目を集めている避難所のひとつだ。

 ここではグレーと緑のスタッフジャンパーを着た約30名の東京都の職員と、約20名の足立区の職員が中心になり、避難民のお世話をしている……ということになっている。

「都のジャンパーを着ているのは全員、東京都の職員で、足立区のジャンパーを着ているのは足立区の職員。これでほとんどの業務を回していて、2人いるボランティアの人には食料の搬入などをしてもらっています」

 と都のジャンパーを着た現場のスタッフ。ところが、彼らのなかには正体を偽った人が紛れ込んでいた。

「実はそのなかに東京電力の社員がいるんです。社内で希望者を募るなどして交代で派遣され、都の職員を装って、避難した方々のお世話をさせていただいているんですよ。私も行ったら、都のジャンパーを渡されました。裏方仕事だったので避難者と交流することはありませんでしたが、毛布の準備や荷物運びを手伝いました」

 しかし、同避難所のスタッフは内情を知ってか知らずか、「東京電力の社員? いませんよ。もしいるなら、堂々と社名を名乗ったほうがいいですよね。避難所で働くのはいいことなんだから、もし東電でそういうことをしているなら、プレス発表してもいいくらいじゃないですか?」

 と語る。

 東京電力広報部は、「そういったことは会社として確認できません。もし、仮に東電の社員が東京武道館にいたとしたら、個人的にボランティア休暇をとってお手伝いをしたのかも知れませんが、それについては会社としてはそこまで把握できません」と回答してきた。

 避難している人に聞いてみると、「そんなのバレたら袋叩きにされかねない。原発のせいで避難しなきゃならなくなったんだから」(50代男性)との声もあった。

※週刊ポスト2011年4月22日号

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