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地震専門家が警戒する「茨城と千葉での直下型地震」の誘発

今回の震災での余波は余震域となっている東日本だけにとどまらない。大地震が起きた際には、離れた位置で「誘発地震」が起きることが少なくないのだ。1944年に起きた東南海地震では太平洋側で起きたにもかかわらず、4年半後に日本海側の福井県で誘発地震を起こしている。琉球大学・木村政昭名誉教授が説明する。

「今回は太平洋プレートの北側で地震が起きました。地震が起きてプレートのストレスが取れましたが、今度はプレートの南側にストレスがかかってきます。房総沖は地震の可能性が強まったといえるでしょう。大地震による誘発地震の危険性はそれほど注目されていませんが、規模も大きいですし、余震以上に充分警戒する必要があるでしょう」

木村教授はこれまで「地震の目」という考え方で地震の予測に取り組んできた。

「従来の地震の予測はM7前後の大きな地震が起きていない空白域を見つけ、そこで数十年後に起こるだろうとするものでした。しかし、なかなか正確には予測できない。そこで私が考えたのが地震の目でした」

木村教授によると、空白域の中でも体には感じることのない小さな地震が密集して起きている部分があるという。空白域にそうした地震の印をつけていくと、黒目のような形になる。それを木村教授は「地震の目」と呼ぶのだという。

「こうした地震の目ができる空白域に限って、過去に大地震が起きているんです。小さな地震が頻繁に起きるようになったら近いうちに、その回数が多ければ多いほど大きい地震が予測されます。この方法だと、地震が起きる場所と時間と規模を予測できるんです」

そんな木村教授がいまいちばん警戒が必要なのは、千葉と茨城で起きる直下型地震だという。

「今回の地震で日本全土にストレスが加わっているといえるでしょう。首都直下型を誘発するのではともいわれていますが、そこにはいまのところ地震の目はありません。何も予兆のないところにはすぐに地震は起きません。ただ、茨城や千葉は以前から、近いうちにM6を超える地震が起きるのではないかと予想されていました。こうしたエリアでは、かなり危険性が強まっているといえるでしょう」

※女性セブン2011年5月5日号

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