芸能

余命半年の俳優 最後の映画で「死に際を撮影しようかな」

「大勢の人に注目してもらい、ぼくにとっては理想以上の人生の幕引きです。自分でスタンディングオベーションをしている感じ。こんなになってからも仕事をたくさんいただいて、死ぬ暇もないんです」

そう語るのは俳優の入川保則さん(71)。入川さんは今年1月、がんによる“余命半年”宣告を受けた。それでもなお、笑みと明るさを失わずに毎日を過ごしている。

振り返れば入川さんの人生は俳優一筋だった。昭和30年代にこの道にはいり、日本の復興とともに突っ走ってきた。長い道のりのなか、脇役の大切さを肌身で学んだ。

「ぼくは主役もいくつかやったけど、脇役のほうがはるかに長かった。まあ、スター以外はみんな脇役に回るわけですよ」

そんな入川さんが何より楽しみにしているのが、間もなくクランクインする予定の人生最後の映画出演だ。昔ながらの古い喫茶店を舞台に、そこを訪れる人々の人間模様を描く。入川さんは喫茶店のマスターを主役として演じる。

「オー・ヘンリーの短編小説を映画化したような感じ。いま脚本待ちの状態で、撮影開始は7月になるかも。大丈夫とは思うけど、下手したら死んでからクランクインするかもしれない(笑い)。映画にはいって途中で具合悪くなったらドキュメンタリーに切り替えて、死に際を撮影しようかな」

人はどのように死を迎え入れるべきなのだろうか。自分の人生を演じ切ろうとしている入川さんに聞いてみた。

「大事なことは死をあまり恐れすぎないこと。死ぬことは誰だって嫌だし、ぼくだって怖いことは怖いですよ。でも、ぼくは71才まで生きてこられたことを喜びたい。この間の大震災での、準備もできないままの突然の死は本当に気の毒です。ぼくは恵まれている。これからぼくは自分で死の旅路の道にひとつひとつ花を植えていきたい。脇役人生、後悔していません」

※女性セブン2011年6月23日号

関連キーワード

トピックス

東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
渡邊渚さんが綴る「PTSDになった後に気づいたワーク・ライフ・バランスの大切さ」「トップの人間が価値観を他者に押しつけないで…」
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
ルーヴル美術館での世紀の強奪事件は瞬く間に世界を駆け巡った(Facebook、HPより)
《顔を隠した窃盗団4人組》ルーブル美術館から総額155億円を盗んだ“緊迫の4分間”と路上に転がっていた“1354個のダイヤ輝く王冠”、地元紙は「アルセーヌ・ルパンに触発されたのだろう」
NEWSポストセブン
活動休止状態が続いている米倉涼子
《自己肯定感が低いタイプ》米倉涼子、周囲が案じていた“イメージと異なる素顔”…「自分を追い込みすぎてしまう」
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
森下千里衆院議員(共同通信社)
《四つん這いで腰を反らす女豹ポーズに定評》元グラドル・森下千里氏「政治家になりたいなんて聞いたことがない」実親も驚いた大胆転身エピソード【初の政務三役就任】
NEWSポストセブン
ナイフで切りつけられて亡くなったウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(Instagramより)
《19年ぶりに“死刑復活”の兆し》「突然ナイフを取り出し、背後から喉元を複数回刺した」米・戦火から逃れたウクライナ女性(23)刺殺事件、トランプ大統領が極刑求める
NEWSポストセブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン