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大前研一氏 営業マンのやる気出すには成功報酬が必要と説く

 運と政治力だけでトップになったリーダーがいかに組織を迷走させるか多くの日本国民が今それを実感していることだろう。大組織を動かすリーダーには何が求められるのか。どのようなシステムを構築すべきなのか。大前研一氏が提案する。

 * * *
 大組織を動かす時は、システムを通じてやるしかない。つまり、組織を動かすリーダーに求められるのは、現場を統計データで掌握し、放っておいても部下たちが一糸乱れずに働くシステムを構築する能力だ。
 
 システムを構築する時に念頭に置かねばならないのは「人は必ず嘘をつく」ということ(性悪説)である。たとえば、お客さんを1人当たり1日4軒しか訪問していなかった組織のセールスマンたちに「1日8軒に増やせ」と指示すると、いつの間にかそうなる。みんな営業日報に「8軒」と書いてくる。だが、その中には挨拶程度で帰ってきたり、玄関先にパンフレットを置いてきただけだったりしたものが含まれている。人は上司が見ていないところでは真面目に働かないのである。
 
 その嘘を乗り越えるためには、どうすればよいのか? 結果を出した人のポケットにお金がチャリンと入る「インセンティブ・システム」を構築しなければならない。セールスマンで言うと、売った商品のマージンの何パーセントかが本人の懐に入るようにする。そうすれば自分が働いた成果を数字で測ることができるから、みんなせっせと働くようになるのだ。
 
 ただし、その場合に禁物なのは目標を「利益」ではなく「売り上げ(金額や数量)」にすることだ。売り上げを目標にすると、なかなか達成できない場合にモラルが下がっていく。なぜなら、売り上げを増やす最も安易な方法は「値引き」だからである。
 
 たとえば、自動車のセールスマンは目標の販売台数を達成するため、往々にして赤伝を持ってくる。お客さんに対して「上司に値引き申請してみます。OKが出たら買ってくれますか?」と積極的に持ちかけるようになる。会社の立場よりも、お客の立場で行動するようになるわけだ。その結果、売り上げが増えたとしてもマージンは垂れ流され、利益は逃げていく。

 組織を動かすリーダーは、そういうことをすべて見通した上で、会社の利益と社員の利益を一致させるようなシステム、自分が寝ていても現場の部下たちが会社の利益のためにフル稼働するようなシステムを作らなければならない。そういうシステムがないと、社員が死ぬほど働いても会社は赤字になってしまう。いわゆる“利益なき繁忙”である。

※SAPIO 2011年7月20日号

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