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事故2日後 中国高速鉄道事故現場作業員に3つの質問直撃

 車両4両が高さ約20メートルの高架から落下する大惨事となった中国高速鉄道事故。

 救助現場の光景は、まさに目を疑うものだった。生存者が車両の中に閉じ込められている可能性があるのに、事故直後から重機で車両を破壊。事故の原因を究明するための大切な証拠も粉々にした。

 事故2日後、本誌は現場近くで、実際にショベルカーを操って車両を壊していた作業員に話を聞くことができた。内陸部出身の30代の中国人作業員である。

――重機で破壊しているが、中には生存者がいるのではないか。

「それは大丈夫。警察がちゃんと生命探知機をかざして、反応がないことを確かめているから。生命探知機で車両を調べているところを見たが、(手の平を地面にかざすような動きをしながら)金属探知機みたいな道具だ。事故翌日(7月24日)の午後の段階で、もう生存者がいないことははっきりしたといっていた。

 私が壊している車両の中からは、お母さんが子供を抱いたまま亡くなっている遺体が見つかったが、もう死んでいるということはわかっていた。でも、その後に別の車両を壊している時、生きている幼児が救出されたとも聞いた……」

――事故原因の究明のために必要な先頭車両を埋めたのか。

「それは知らないな……。私は埋めていない。他の重機が通れるように、移動させて道の整備をしていただけじゃないか」

――これから車両はどうするように指示されている?

「壊れた高速鉄道の車両なんてただの鉄くずみたいなもんだろう? これからできるだけ小さく切り刻んで土に埋める予定だ。ただ車両は硬いし大きいからショベルカーだけでは切断が難しい。今はその方法を当局の上層部が考えていると聞いている。とにかく私は作業をはやく終えて帰りたい。昨日、携帯電話の充電が切れてしまって困っているんだ」

 やはり“証拠隠滅指令”は末端の作業員まで届いているようだ。事故の再発を防ぐための調査など、最初からするつもりがないのだろう。

※週刊ポスト2011年8月12日号

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