ライフ

【クイズ】家庭で作った梅酒 町内会に配ると密造になるか?

 新刊『「規制」を変えれば電気も足りる』(小学館101新書)で、大昔に作られた規制制度が日本には数多く残っていて、それらが問題を引き起こしていると指摘した元経産省キャリア官僚の原英史氏(現・政策工房社長)。原氏が、思わぬところに網を張り巡らせている「規制」について解説する。

 * * *
 お酒と税金は、古くから切っても切れない関係にある。税の確保という観点から、密造酒(ドブロクなど)の禁止は役所にとって重要テーマだ。酒の密造は、法律上、極めて厳格に規制されている。

 昔は、梅酒や果実酒の自家製造も全面禁止されていた。それが昭和37年(1962年)に自家用梅酒の製造が解禁された。しかし、規制はまだ残っている。例えば、自家用のお酒について、こう決められている。

 あくまで「自ら消費するため」だけ(酒税法43条11項)。

 では、自家用梅酒を来客に出したり、町内会で配ったりした場合はどうなるか。国税庁に聞くと、答えは、「自分で飲むつもりで作って、たまたまおすそ分けしたなら適法。最初から町内会に配る分まで作っていたなら違法」という。
 
 つまり、製造の時に「自ら消費するため」だったかどうかがポイント。梅酒を作りながら心の中で、「たくさん作って町内会にも持っていこうか」なんてうっかり“思っていたら”、たちまち「密造」になる。そして、こうした規制をうっかり犯すと、こんな重い罰が待っている。

●酒税法54条1項
〈製造免許を受けないで、酒類、酒母又はもろみを製造した者は、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する〉

 他にも自家用梅酒には、「アルコール分20度以上の酒で漬けなければいけない(酒税法施行令50条14項)」といった規制がある。かつてテレビの料理番組で、みりんを使って梅酒を作る方法を紹介したら、みりんが「アルコール分20度以上」ではなかった。つまり、“密造”に該当してしまうとわかり、放送局が訂正した事件もあった。

 もともとは、明治時代に酒税を上げた時、酒造業界が「これでは庶民がドブロクを作る」と反発したのをなだめるために作られた規制だとされる。こんな厳しい規制を今も続ける必要があるのだろうか?

関連記事

トピックス

真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
国内統計史上最高気温となる41.8度を観測した群馬県伊勢崎市。写真は42度を示す伊勢崎駅前の温度計。8月5日(時事通信フォト)
《猛暑を喜ぶ人たちと嘆く人たち》「観測史上最高気温」の地では観光客増加への期待 ”お年寄りの原宿”では衣料品店が頭を抱える、立地により”格差”が出ているショッピングモールも
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
【観光客が熊に餌を…】羅臼岳クマ事故でべテランハンターが指摘する“過酷すぎる駆除活動”「日当8000円、労災もなし、人のためでも限界」
NEWSポストセブン
2013年に音楽ユニット「girl next door」の千紗と結婚した結婚した北島康介
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
二階堂ふみとメイプル超合金・カズレーザーが結婚
二階堂ふみ&カズレーザーは“推し婚”ではなく“押し婚”、山田美保子さんが分析 沖縄県出身女性芸能人との共通点も
女性セブン
山下美夢有(左)の弟・勝将は昨年の男子プロテストを通過
《山下美夢有が全英女子オープンで初優勝》弟・勝将は男子ゴルフ界のホープで “姉以上”の期待度 「身長162cmと小柄だが海外勢にもパワー負けしていない」の評価
週刊ポスト
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《北島康介に不倫報道》元ガルネク・千紗、直近は「マスク姿で元気がなさそう…」スイミングスクールの保護者が目撃
NEWSポストセブン
娘たちとの関係に悩まれる紀子さま(2025年6月、東京・港区。撮影/JMPA)
《眞子さんは出席拒否の見込み》紀子さま、悠仁さま成年式を控えて深まる憂慮 寄り添い合う雅子さまと愛子さまの姿に“焦り”が募る状況、“30度”への違和感指摘する声も
女性セブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
「ローションに溶かして…」レーサム元会長が法廷で語った“薬物漬けパーティー”のきっかけ「ホテルに呼んだ女性に勧められた」【懲役2年、執行猶予4年】
NEWSポストセブン