国内

結婚式場から被災地に赴いた衛生隊員「式中断に悔いはない」

 SAPIOは東日本大震災と闘う自衛官とその家族、OBたち120名に対して取材を行なった。ここにあるのは、日本人が忘れてはいけない「3.11後」を支えた人々の「奮闘の記録」である。今回は地震発生当時、自らの結婚式を行なっていた陸上自衛官の話を紹介する。

 * * *
 その時、陸上自衛隊第9師団第21普通科連隊の佐藤晃3曹は結婚式場にいた。他人の式ではない。自分自身の一世一代のハレの日だった。

「地震があったのは、親戚一同が集まって結婚式を行なっている最中でした。ウェディングドレスを着た花嫁を残して、着飾ったまま、急いで所属する秋田の駐屯地に向かいました。もちろん、結婚式は中止。沖縄への新婚旅行も無期限延期になりました」

 佐藤3曹が岩手県釜石市に入ったのは3月15日のこと。すぐに救護活動が始まった。活動の中心となったのは、津波被害を免れた県立釜石病院だった。

 1日に20~30人の患者を運んだ。だが、ライフラインがストップした病院では不十分で、時には重傷者を、内陸部に100キロ近く離れた奥州市にある病院へ運んだこともあった。

 生存者だけではない。多くの遺体の収容、運搬も行なった。遺体は圧死や溺死がほとんどだった。毎日のように、佐藤3曹は遺体と対面した。

「自分は仲間を助けたい、という気持ちから衛生小隊を希望して配属されました。今、目の前に助けを求めている人たちがいる。ご遺体を捜しているご家族がいる。その役に立てている自分が嬉しかった。結婚式はやり直しがききますが、被災地では一刻を争います。釜石に来てから、結婚式中断を後悔したことは一度もありませんでした。新婦には、本当に悪いことをしてしまいましたが……」

※SAPIO2011年8月17日・24日号


関連キーワード

関連記事

トピックス

サンシャインシティ文化会館を訪問された佳子さま(2026年1月30日、撮影/JMPA)
《メイク研究が垣間見える》佳子さま、“しっかりめ”の眉が印象的 自然なグラデーションを出す描き方、ナチュラルなアイシャドウやリップでバランスも
NEWSポストセブン
ハナ被告の相次ぐ麻薬関連の容疑は大いに世間を騒がせた(Instagramより。現在は削除済み)
《性接待&ドラッグ密売の“第2の拠点”をカンボジアで計画か》韓国“財閥一族のミルク姫”が逮捕、芸能界の大スキャンダル「バーニング・サン事件」との関連も指摘
NEWSポストセブン
選挙を存分に楽しむ方法とは(写真/イメージマート)
《盛り上がる選挙戦》大人力を発信するコラムニストが解説する「“危険な落とし穴”を避けつつ選挙を楽しむ方法」とは?「政見放送に勝手にツッコミ」「みっともない人を反面教師にする」
NEWSポストセブン
アワードディナーに初めて出席した真美子さん(提供:soya0801_mlb)
《鎖骨見せワンショルで“別人級”》大谷翔平の妻・真美子さん、晩餐会ファッションで見せたジャパン推しの“バランス感覚”【専門家が解説】
NEWSポストセブン
新しい本屋ができたと喜んだが……(写真提供/イメージマート)
コンビニすらなかった郊外や地方に新規開店するポツンと書店、ビデオ試写室が併設されるケースも 子供から「何が見られるの?」と聞かれ親は困惑
NEWSポストセブン
インフルエンサーのニコレッテ(20)
《南米で女性398人が誘拐・行方不明》「男たちが無理やり引きずり出し…」メキシコで人気インフルエンサー(20)が生きた状態で発見される【生々しい拉致映像が拡散】
NEWSポストセブン
公用車事故で乗客が亡くなったタクシーの運転手が取材に応じた(共同通信/hirofumiさん提供)
「公用車の運転手は血まみれ」「お客様!と叫んでも返事がなく…」9人死傷の公用車事故、生き残ったタクシー運転手が語った“恐怖の瞬間”「官僚2人がストレッチャーで運ばれていった」
NEWSポストセブン
およそ4億円を強奪した”黒ずくめ”の3人組はいったい何者なのか──(時事通信)
《上野・4億円強奪事件》「『キャー!!』と女性の悲鳴も」口元を隠した“黒ずくめ3人衆”が道路を逆走し暴走、緊迫の一部始終と事件前から目撃されていた「不審な車両」
NEWSポストセブン
女優・唐田えりか(Imaginechina/時事通信フォト)
唐田えりか(28)が「撮影中に感情移入して泣き出してしまった」背景とは…訴訟映画『恋愛裁判』の撮影現場で見せた“並々ならぬ思い
NEWSポストセブン
市川中車(右)と長男の市川團子
《大河ドラマに大抜擢》香川照之が導いた長男・市川團子と小栗旬の共演 作中では“織田信長と森蘭丸”として主従関係を演じる
週刊ポスト
SixTONES
《デビュー6周年》SixTONES&Snow Manの魅力を山田美保子さんが分析「メンバーそれぞれに“強み”がある」「随所で大きな花を咲かせたのはジュニア時代からの努力の賜物」
女性セブン
送検のため警視庁本部を出る佐藤伸一容疑者(右:共同)
《“色白すべすべボディ”の“ちっちゃい峰不二子”に…》「金もってこい!!」カリスマ東大教授が高額おねだりで収賄疑い…夢中になった”バニーガール風俗”の実態
NEWSポストセブン