国内

【女子アナ復興日記1】被災地に活気「満席です」と断られ喜ぶ

早坂まき子アナの女子アナ復興日記1

元仙台放送アナウンサーで震災直後の取材にあたり、現在は東京でフリーアナとして活躍する早坂まき子氏が、六ヶ月たった「震災のあと」を考える連載。第一回は、灯火を取り戻しつつある国分町の姿を伝える。

* * *
仙台市中央にある国分町は、東北随一の歓楽街として知られています。震災直後こそお店は閉じていましたが、4月末にはガス・水道・電気が復旧し、ほとんどのお店が通常営業を再開していました。

4月末、私はそのなかのある一軒の居酒屋さんに伺いました。このお店はこぢんまりとして小さいのですが、捻り鉢巻きの元気な店主と活きの良い魚がウリで、お酒が飲めない私も会社の同僚たちと何度か顔を出していました。

「今はとりあえず食材が全部揃わなくても、お店は開けないと忘れられちゃうからね。お客は少なくてもやらないと」

お客さんの入りは7分くらい。いつもの笑顔を見て私がホッとしたのもつかの間、店主は厳しい内情を話してくれました。

「観光客が激減して、今のお客さんはボランティアや、仕事で仙台を訪れる人ばかりだから、みんなお酒もあんまり飲まないし、長居もしてくれない。そもそも夜9時を過ぎれば国分町全体が静かになってしまうからね。お客さんが多いように見えて、売り上げは半分以下なんだよ」

たしかに生活は震災以前と変わらないようにみえても、まだまだ人々はお酒を飲んでいられる気持ちではなかったのです。

しかし7月、国分町が活気に湧くイベントがありました。16、17日に開かれた『東北六魂祭』というお祭りです。これは東日本大震災を受けて被害に苦しむ中、東北六県のお祭りが一ヶ所に集結することで東北への観光を誘致すること、そして東北が震災にめげず復興しているということを全国に発信するために開催されました。あの大震災の後、初めての東北での大きなお祭りです。

東北六県のお祭りが集結するのは初めてということもあり、二日間の予想来場者数10万人だったところ、初日で約13万人・二日目で約23万人の人が訪れました。予想を遙かに上回る集客数です。それだけ人々は賑わいとか活気に飢えていたでしょう。

祭り会場で多くの家族連れの姿をみかけ、関東や九州から仙台に来たという人に出会ったとき、私は「東北のことを考えている人がこんなにも沢山いるのだな」と嬉しくなりました。日本全国からのお客さんの「被災地に何かがしたい」という温かい気持ちの表れだなとも思えました。

国分町のお店も、「すみません、満席です」と断られるほどの盛況ぶり。しかも、一軒ではなく三軒も! 断られて変なのですが、友人たちと「ああよかった。忙しいのがなによりだね」と喜んだものです。

観光も立派な被災地支援になります。ボランティアをすることに抵抗がある方や不安がある方は、震災の影響を大きく受けている東日本の飲食業界、ホテル・旅館業界も復興支援の対象だということを意識して、ぜひ、観光としてでも東北に足を運んでいただけたら幸いです。

【プロフィール】

早坂まき子。元仙台放送アナウンサー。六年在籍した仙台放送時代に東日本大震災に遭う。現在フリーアナウンサーとしてJ:COM被災地支援番組『週刊ボランティア情報 みんなのチカラ』司会担当。個人的な被災地支援活動もしながら、長期的にどのような支援が出来るか模索中。


トピックス

大谷翔平の最新ヘアスタイル
【爽やか新ヘアの裏側】大谷翔平をカットしたのは“美容師界の東大”有名サロンの海外1号店だった 真美子夫人と一緒に“ヘアカットデート”
女性セブン
田村瑠奈被告
【戦慄の寝室】瑠奈被告(30)は「目玉入りのガラス瓶、見て!」と母の寝床近くに置き…「頭部からくり抜かれた眼球」浩子被告は耐えられず ススキノ事件初公判
NEWSポストセブン
日本アカデミー女優のもたいまさこ
《人気女優・もたいまさこの現在》ドラマ『やっぱり猫が好き』から36年、目撃した激やせ姿「出演予定の作品なし」の引退危機
NEWSポストセブン
5月27日に膵癌のため76才で死去した今くるよさん(写真は2007年)
《追悼・今くるよさん逝去》弟弟子の島田洋七が明かした意外な素顔「マンションの壁をぶち抜き」「特注のステージ衣装を“姉妹”で150着」
NEWSポストセブン
ギリシャ訪問を無事終えられた佳子さま(時事通信フォト)
佳子さま、ギリシャ訪問時のファッション報道がフィーバー「北風と太陽」注目されるプリンセスの動向
NEWSポストセブン
日本中を震撼させた事件の初公判が行われた
【絶望の浴室】瑠奈被告(30)が「おじさんの頭持って帰ってきた」…頭部を見た母は「この世の地獄がここにある」 ススキノ事件初公判
NEWSポストセブン
愛子さま
愛子さま、近い立場で他愛のない話をできるのは佳子さまだけ 「どこのコスメを使われているのですか?」と真剣に相談も
女性セブン
容疑者
《ススキノ・ホテル殺人》初公判で判明した「瑠奈ファースト」な一家の歪み「母親が書いた奴隷誓約書」「父親はドライバーさん」
NEWSポストセブン
世界で活躍する真田
【全文公開】真田広之がサシ飲みでエール 俳優転身の次男・手塚日南人が明かす“知られざる離婚後の家族関係”
女性セブン
手指のこわばりなど体調不安を抱えられている(5月、奈良県奈良市
美智子さま「皇位継承問題に口出し」報道の波紋 女性皇族を巡る議論に水を差す結果に雅子さまは静かにお怒りか
女性セブン
高橋一生&飯豊まりえ
福山雅治&吹石一恵、向井理&国仲涼子、高橋一生&飯豊まりえ…「共演夫婦」の公私にわたる絶妙なパワーバランス
女性セブン
小学館が公表した「調査報告書」より抜粋
ドラマ『セクシー田中さん』脚本家の交代要請は妥当だったのか 小学館調査報告書のポイント
NEWSポストセブン