国内

【女子アナ復興日記3】子供たちは「英語であそぼ」で大はしゃぎ

早坂まき子アナの女子アナ復興日記3

元仙台放送アナウンサーで震災直後の取材にあたり、現在は東京でフリーアナとして活躍する早坂まき子氏が考える連載「震災のあと」。第三回は、子供たちへのボランティア活動を通じて、大人の役割について考える。

* * *
この記事を読む方の中ではボランティアで、仕事で被災地へ行ったという方もいらっしゃるでしょう。私は仙台に住んでいたご縁もあって、被災地支援をしようという強力な仲間と東京で繋がることができました。その仲間たちと6月、宮城県の岩沼市、名取市、女川町の幼稚園・保育所計4か所に子供たちの慰問を行いました。

東日本大震災が起こった3月11日は、ちょうど卒園式や入園式準備のころでしたが震災の影響で幼稚園や保育所はほとんどのイベントが中止や延期となりました。そんな子供たちに少しでも笑顔になってもらおうと、NHK「英語であそぼ」で活躍する歌手のエリックさんと共に被災地へと向かいました。エリックさんは被災地支援を計画中に知人の紹介で知り合い、協力していただくことになった方です。

どこへ行ってもエリックさんの歌とギター演奏で子供たちは大はしゃぎ。テレビで見ていた歌手が目の前にいるのですから、子供たちは興奮して歓声をあげながら一緒に体を動かし、歌ってくれました。

中には額が汗ばむほど音楽にのって歌う子供も。私も以前「体操のお姉さん」として子供番組を担当していた経験をいかし、エリックさんのアシスタントとして子供たちと共に歌いました。

正直、私は被災地の幼稚園に行くのは不安でした。園長先生や保護者の了承を得ているとはいえ、宮城の子供たちは笑顔になれるだろうか……。大震災から3ヶ月後にあたるこの日、まだ余震も頻繁で緊急地震速報に怯える頃でした。

被災地のお母さんたちに聞くと震災後の子供たちの変化は多々あるようでした。「おしゃぶりをするようになったり、赤ちゃん返りをしたりする」「一人で眠れない」「震災関連のニュースをじっと見つめる」……。あれだけの被害をもたらした大震災を子供たちも小さな心と体で必死に受け止めているのです。

しかし、慰問で訪れたとある幼稚園の先生は、私たちを歓迎してくれました。

「笑顔や笑い声を思いっきり出せるのは久しぶり。素直に子供たちも嬉しいのだと思います」

今まで歌ったり体を動かしたりという日常が、非日常となっている中でエリックさんと一緒に少しの時間でも「日常」に戻れてよかったな、と手前みそながら思えた瞬間でした。

震災から半年が経過した今、子供たちがどのような思いを抱いているかは子供によって違います。ただ一つ言えるのは、少なからず震災後に恐怖や不安を経験してしまったということ。被災地が少しずつでも日常に戻るためにも、子供たちに笑顔になってほしいなと思います。

「子供が元気な笑顔を見せると、大人が安心するのよね」とあるお母さんが言ったこの言葉が、被災地の親心を映していると思いました。子供たちが日常を取り戻す環境を作ることが、大人たちの役目なのではないでしょうか。

【プロフィール】

早坂まき子。元仙台放送アナウンサー。六年在籍した仙台放送時代に東日本大震災に遭う。現在フリーアナウンサーとしてJ:COM被災地支援番組『週刊ボランティア情報 みんなのチカラ』司会担当。個人的な被災地支援活動もしながら、長期的にどのような支援が出来るか模索中。


関連記事

トピックス

24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
新大関の安青錦(写真/共同通信社)
《里帰りは叶わぬまま》新大関・安青錦、母国ウクライナへの複雑な思い 3才上の兄は今なお戦禍での生活、国際電話での優勝報告に、ドイツで暮らす両親は涙 
女性セブン
東京ディズニーシーにある「ホテルミラコスタ」で刃物を持って侵入した姜春雨容疑者(34)(HP/容疑者のSNSより)
《夢の国の”刃物男”の素顔》「日本語が苦手」「寡黙で大人しい人」ホテルミラコスタで中華包丁を取り出した姜春雨容疑者の目撃証言
NEWSポストセブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《24歳の誕生日写真公開》愛子さま、ラオス訪問の準備進めるお姿 ハイネックにVネックを合わせて顔まわりをすっきりした印象に
NEWSポストセブン
韓国・漢拏山国立公園を訪れいてた中黒人観光客のマナーに批判が殺到した(漢拏山国立公園のHPより)
《スタバで焼酎&チキンも物議》中国人観光客が韓国の世界遺産で排泄行為…“衝撃の写真”が拡散 専門家は衛生文化の影響を指摘「IKEAのゴミ箱でする姿も見ました」
NEWSポストセブン
渡邊渚アナのエッセイ連載『ひたむきに咲く』
「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われている」 渡邊渚さんが「日本で多発する性的搾取」について思うこと
NEWSポストセブン
“ミヤコレ”の愛称で親しまれる都プロにスキャンダル報道(gettyimages)
《顔を伏せて恥ずかしそうに…》“コーチの股間タッチ”報道で謝罪の都玲華(21)、「サバい〜」SNSに投稿していた親密ショット…「両親を悲しませることはできない」原点に立ち返る“親子二人三脚の日々”
NEWSポストセブン
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン