スポーツ

横浜ベイで注目のDeNA 04年の楽天より営業利益400億多い

 横浜ベイスターズの売却先として名前が飛び出したDeNA。「モバゲー」では有名だが、いったいどんな会社なのか。プロ野球団を買収する会社としてふさわしいのか。ノンフィクション・ライターの神田憲行氏が、買収にまつわる「お金の話」を解説する。

 * * *
 横浜ベイスターズ球団売却の話がまた動き出した。今度の本命は携帯用ゲームサイト運営会社「DeNA」だった。

 ゲームをしない人にはピンと来ない会社だが、2010年度の売り上げが1127億円、営業利益560億円の企業規模を誇る。2004年に新規参入したときの楽天の売り上げが455億円、営業利益150億円だったことを考えれば、球団の買い手として「有資格者」である。

 加えて、DeNAの2010年度の販促費・広告費が196億円もあることに注目したい。プロ野球団は昭和29年の「職業野球団に対して支出した広告宣伝費の取り扱いについて」という国税庁通達で、球団の赤字補填は親会社の宣伝広告費として損金算入できる優遇措置が取られている。

 いってみれば親会社の広告宣伝費が球団を支える「原資」のようなもので、横浜ベイの親会社TBSは毎年20億円程度を補填していた。昨年、売却先として名乗り出た住生活グループが「毎年200億円近い広告宣伝費を使っているのでその範囲でまかなえる」と自信を見せたのも、その背景がある。

 DeNAの196億円はこの点でも余裕がある(もっとも2009年度の広告宣伝費は50億円だから、今後も同じ規模で広告宣伝費を使い続ければ、という前提だが)。

 一方で、DeNAが赤字球団を買う理由はなんだろう? 知名度向上、事業のシナジー効果などがあるが、私は意外に経営者の欲を満たす、ということではないかと思っている。孫正義氏も三木谷浩史氏も、成功したベンチャーから「一流企業」「日本を代表する企業」と認識されるために、日本に12チームしかないプロ野球団を所有するという「勲章」が欲しかったのではないか。

 人気凋落とは言われても、我が国でもっと古く幅広く浸透しているプロスポーツを経営することは、企業の社会的ステータスを上げることに貢献する(逆に言えば、パナソニック等すでに一流企業がプロ野球団をこれから所有する魅力は乏しい)。

 しかしこの話がすんなりまとまらないのは、本拠地問題である。球団収入の大きな柱はチケット収入とスポンサー収入(球場の広告看板)、放映権だが、いまどき放映権はあてにならない。しかし球団と横浜スタジアムの管理運営会社である「株式会社 横浜スタジアム」との契約では、スポンサー収入はスタジアム側の総取りで球団には入らない。チケット収入も25%が球場使用料としてスタジアムの取り分になる。これでは黒字転換は難しい。

 新しい契約交渉をするのか、移転するのか。来シーズンから参加するには11月30日までにプロ野球実行委員会とオーナー会議の承認が必要だが、間に合うかは微妙だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン