国内

芸能人が暴力団員と飲食したら暴排条例でアウトかセーフか?

「暴力団関係者と知らずに取引契約を交わしてしまったら条例違反なのか」「暴力団にモノを売ったり、一般客と同様のサービスを提供することはアウトか」「どこまで付き合ったら“密接交際者”とされてしまう?」……。一般市民をも規制対象とした暴排条例は、ビジネスや日常生活の場面に影響を及ぼす。では、その「アウト」と「セーフ」の境界線はどこなのか。暴力団対策に詳しい弁護士・高島秀行氏が解説する。

* * *
〈ある営業マンが接待をした後、その接待先が暴排条例に引っ掛かる相手と判明した。その領収書は精算できるのか〉

相手がそうとは知らずに交わした契約はセーフですから、接待後に判明した場合もセーフです。接待とは、あくまでも契約上の取引の対価として行なわれる行為と考えられます。当然、会社側には接待費の精算義務が生じます。しかし、相手が暴力団関係者と知った上で、何らかの見返りを得ようとして、取引の対価に見合わない過剰な接待をした場合はアウト。

〈社内ルールにより、会社は暴力団関係者と疑われる相手との接待費を認めないこととし、営業マンは自腹を切ることにした〉

このような決定の際には取引も中断していると考えられ、当の営業マンと相手の飲食は、会社を離れたプライベートでの付き合いと認められます。都の条例で規制されている「事業者」の定義を外れますからセーフです。

「暴力団員との飲食」を考える上でわかりやすい例は、芸能人でしょう。暴力団関係者と食事をするだけならセーフですが、やがて昵懇になって組の行事に招かれるなど、広告塔として「組の活動を助長」したらアウトです。たとえ一般市民であっても、個人的な付き合いから、いつの間にか組織に取り込まれてしまう可能性があることを、忘れないでいただきたいと思います。

〈暴排条例を意識し、トラブルを未然に防ごうと、契約書に排除条項を入れようとしたが、取引先に「面倒だ」と言われてしまい、交わさなかった〉

排除条項は、条例により努力義務と定められています。勧告や公表、罰則を受けないという意味ではセーフですが、努力義務に違反することになります。企業のコンプライアンス上、導入すべきだと思います。

※SAPIO2011年11月16日号

関連キーワード

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン