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死亡率1位は胃がんから肺がんに だが患者数は減っていない

近年、胃がんの早期発見率は向上しているが、リンパ節転移の少ない早期がんでも、予防的に広範囲に切除する定型手術が行なわれる例は多い。切除が少ない手術が可能かどうか判断するのが、センチネルリンパ節生検だ。腫瘍から最初にリンパ流が行きつくセンチネルリンパ節に腫瘍がなければ、リンパ節に転移はないと考えるもので、縮小手術に応用できると期待されている。

長年日本人のがん死亡率1位だった胃がんは肺がんにその座を譲ったが、未だに毎年約10万人が胃がんと診断され、患者数は減っていない。がん検診の普及や診断技術の進歩により、胃がんの早期発見率は向上しているが、リンパ節転移の予防のために定型手術が行なわれることが多い。仮に胃を3分の2切除すると、食事量減少、ダンピング症候群や逆流性食道炎、下痢など、様々な症状が起こる。

胃がんのリンパ節への転移の有無を調べる方法として注目されているのが、センチネルリンパ節生検だ。「見張りリンパ節」という意味のセンチネルリンパ節は腫瘍から最初にリンパ流を受け、最初の微小転移が生じる場所と考えられている。慶應義塾大学医学部附属病院一般・消化器外科の北川雄光教授に話を聞いた。

「センチネルリンパ節生検の有効性は、欧米での乳がんとメラノーマ(皮膚がん)の大規模臨床試験で実証され、今年4月から日本でもこの2つについては保険収載されています。乳がんでは腋の下にセンチネルリンパ節が発見でき、そこに腫瘍細胞がなければリンパ節への転移がないと判断し、縮小手術を行ないます」

2004年から慶應義塾大学病院を含む全国12施設共同で、胃がんのセンチネルリンパ節生検の臨床研究が実施された。400症例に対し標準治療である胃の3分の2切除を行ない、取り出したリンパ節を病理検査したところ、センチネルリンパ節を見て転移を発見できる確率が93%、転移しているかどうかの診断の正しさ(正診率)は99%と高いものだった。

(取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2011年11月18日号

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