国際情報

TPP参加で補助金漬けのアメリカ農業は壊滅すると大前研一氏

そもそもTPP(環太平洋経済連携協定)とは何なのか。推進派も反対派も議論ばかりは百出するが、もし実現したらどうなるのか。大前研一氏が解説する。

* * *
農業も、実はアメリカは補助金漬けで弱い分野なので、TPPの交渉では強く出られない。農業「世界最弱」国の日本には攻め込めるが、競争力の強いオーストラリアの農作物に攻め込まれたら、アメリカの農業は壊滅するだろう。

既にアメリカは、TPP交渉の場でも砂糖や乳製品を例外にするよう主張し始めており、今後、交渉が本格化したら、「逃げ」に回ると思う。

ということは結局、TPPはかつてのGATT(関税と貿易に関する一般協定)ウルグアイラウンドと同じようなものだと考えればよいのではないか。日本はウルグアイラウンドでコメの「市場開放」を延期する代償としてミニマムアクセス(最低輸入量)比率の引き上げを選択した。

しかし輸入米の関税率は、未だに当初の778%相当のままである。ウルグアイラウンドが暗礁に乗り上げてしまったため、TPPという太平洋地域限定の新しい仕掛けを誰かが思いつき、それに来年の大統領選挙までに是が非でも雇用創出をアナウンスしたいオバマ・アメリカが便乗してきたのだろう。だとすれば、恐れる必要はない。

※週刊ポスト2011年12月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

カジュアルな服装の小室さん夫妻(2025年5月)
《親子スリーショットで話題》小室眞子さん“ゆったりすぎるコート”で貫いた「国民感情を配慮した極秘出産」、識者は「十分配慮のうえ臨まれていたのでは」
NEWSポストセブン
宮城野親方
《白鵬に若手親方から評価の声出るも…》「宮城野部屋の復活」が先送りされるウラに「相撲協会執行部が“第2の貴の乱”を恐れている」との指摘も
NEWSポストセブン
気持ちの変化が仕事への取り組み方にも影響していた小室圭さん
《小室圭さんの献身》出産した眞子さんのために「日本食を扱うネットスーパー」をフル活用「勤務先は福利厚生が充実」で万全フォロー
NEWSポストセブン
“極秘出産”していた眞子さんと佳子さま
《眞子さんがNYで極秘出産》佳子さまが「姉のセットアップ」「緑のブローチ」着用で示した“姉妹の絆” 出産した姉に思いを馳せて…
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《日本中のヤクザが横浜に》稲川会・清田総裁の「会葬」に密着 六代目山口組・司忍組長、工藤會トップが参列 内堀会長が警察に伝えた「ひと言」
NEWSポストセブン
5月で就任から1年となる諸沢社長
《日報170件を毎日読んでコメントする》23歳ココイチFC社長が就任1年で起こした会社の変化「採用人数が3倍に」
NEWSポストセブン
石川県をご訪問された愛子さま(2025年、石川県金沢市。撮影/JMPA)
「女性皇族の夫と子の身分も皇族にすべき」読売新聞が異例の提言 7月の参院選に備え、一部の政治家と連携した“観測気球”との見方も
女性セブン
日本体操協会・新体操部門の強化本部長、村田由香里氏(時事通信フォト)
《新体操フェアリージャパン「ボイコット事件」》パワハラ問われた村田由香里・強化本部長の発言が「二転三転」した経過詳細 体操協会も調査についての説明の表現を変更
NEWSポストセブン
岐阜県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年5月20日、撮影/JMPA)
《ご姉妹の“絆”》佳子さまがお召しになった「姉・眞子さんのセットアップ」、シックかつガーリーな装い
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《極秘出産が判明》小室眞子さんが夫・圭さんと“イタリア製チャイルドシート付ベビーカー”で思い描く「家族3人の新しい暮らし」
NEWSポストセブン
ホームランを放ち、観客席の一角に笑みを見せた大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平“母の顔にボカシ”騒動 第一子誕生で新たな局面…「真美子さんの教育方針を尊重して“口出し”はしない」絶妙な嫁姑関係
女性セブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日の親子スリーショット》小室眞子さん出産で圭さんが見せた“パパモード”と、“大容量マザーズバッグ”「夫婦で代わりばんこにベビーカーを押していた」
NEWSポストセブン