国内

福島原発出稼ぎ作業員「骨まで被曝、体が急にだるうになる」

福島県いわき市。震災から9か月、復興バブルは瞬時に去り、作業員宿舎のある温泉街、ソープランドから、賑わいの灯は消えた。いま、事故の後処理に従事する作業員たちは、どんな日常を送っているのか。作家の山藤章一郎氏が報告する。

* * *
夜7時15分。朝方、第一原発から40キロ地点のいわき市湯本の旅館を出発した作業員たちが戻ってきた。55歳の佐賀県氏、32歳の福岡県氏から、旅館駐車場に停めた車の中で話を聞く。佐賀県氏は従業員20人の会社に勤めていた。

社長に「1日5万、どうね。原発やけん、ちぃとは危険もあるかもしれんばってん」と頼まれた。「ほんで、延々と車で九州から来たとよ。着いて、ごく普通の健康診断やって〈放射線管理手帳〉=〈ホウカン〉渡されよった。

東電は、第一原発を〈1F〉と呼びよりますが、わしらは、逆さに〈F1〉って。〈F1〉にゃ、大林、竹中以外の大手ゼネコンから中堅、わしら下請け、孫請けまで、3000人ぐらい来とるけえ。

みんな、〈免震棟〉に着いたら、またつなぎの防護服〈タイベック〉に着替えるとよ。これでん、暑いのなんのって」

原子力発電とは、いわば巨大なヤカンで蒸気をつくって発電機をまわす施設である。その燃料が核である。熱が出る。冷ますのに、11日562万トン、丸ビル21杯の冷却水がいる。

佐賀県氏の作業は多岐にわたる。建屋の壁を解体し、がれきを運び、人が通れる、換気ができる配管をつくり、さらに原液と水を攪拌して、解体時に飛び散る粉塵を固める液をつくる。32歳の福岡県氏。

「建屋は超高温、湿度100%。たまらん暑さと湿度やもんねえ。しかし、アゴ、アシ、ドヤ付きで、1か月30万円ちょこの出づら(日当)やけん、文句はいえんが、『そゲなもんの片づけして、あんたらせいぜい働いて死ね』いうことかと、毎日思うとよ。

われわれジャンパーと呼ばれとりまして。危険なとこでも飛び込んで行きよる、ジャンピングしよる〈ジャンパー〉。

アラーム鳴りっぱなし、体が急にだるうになるのは、しょっちゅう。内部被曝も外部被曝もありゃせんで。骨まで全面被曝じゃもん。しかしまあ、われわれ、地獄の釜這いずりまわる人間ですき、いたしかたなかよ。

メルトダウンを聞かされたのも後になってからやけねえ。3号機の前通ると、線量計がひと桁上がる。死ぬくさと思うとです。そんでも、カネと欲の道連れでこんな割のええ仕事やめられんとですよ」

※週刊ポスト2012年1月1・6日号

関連キーワード

トピックス

中国出身の女性インフルエンサー・Umiさん(TikTokより)
《クスリ漬けか…との声も》ギャル系美女が映っていた“異様な監視カメラ映像”とは》「薬物を過剰摂取し、足も不自由で、死んでしまう…」中国インフルエンサー(20)の住居の管理人が証言
NEWSポストセブン
100円ショップ(写真提供/イメージマート)
《100円という呪縛》物価上昇と円安に苦しむ100円ショップ 「一度100円と思い込まれたものを値上げするのは難しい」と店主が嘆く
NEWSポストセブン
中国人インフルエンサーがカンボジアの路上で変わり果てた姿で発見された(TikTokより)
「クスリを支配の道具に」「行為中に使う客層も…」変わり果てた中国人美女インフルエンサーが保護されたシアヌークビル、専門家が語る現地アングラ界隈のリアル
NEWSポストセブン
木原龍一、三浦璃来(写真/AFLO)
【ミラノ・コルティナ冬季五輪】小塚崇彦さんが解説するフィギュアスケート日本代表の強さ 世界王者「りくりゅう」だけじゃない「史上最強の代表陣」
米・ミネソタ州でICEの職員が女性に向けて発砲し死亡した事件が起きた(時事通信フォト)
【本当に正当防衛か?問題動画検証】米・ミネアポリスで移民当局が女性射殺 国と市長が異例の対立…「女性が抵抗」トランプ大統領・「狂った左派」バンス副大統領vs.「でたらめだ」市長
NEWSポストセブン
沖縄県警の警察官が、「ガサ(家宅捜索)」に入った女性の勤務先に押しかけるという事案が発生(左/共同通信社)
《「恋した」「すっぴんがかわいい」と…》沖縄県警捜査員が“ヤミ金事件”捜査女性の勤務先に押しかけ、迫って、批判殺到 “パスポートを押収し、逆らえない状況でエイサーに誘った”
NEWSポストセブン
中国出身の女性インフルエンサー・Umiさん(TikTokより)
〈自慢のロングヘアがボサボサに…〉中国美女インフルエンサー(20)、精神に異常をきたして路上生活…母親が電話で抱いた疑念「話し方を指示されているのでは」【高給求めてカンボジアに渡航も】
NEWSポストセブン
月9ドラマ『絶対零度』で主演を務めた沢口靖子
《60歳とは信じられない美姿勢》沢口靖子、“本人も継続を断念”した『科捜研の女』完結後は…各局が熱視線を送る理由
NEWSポストセブン
秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《不敬どころの騒ぎじゃない》秋篠宮家・佳子さまも被害に…AIを用いた性的画像の被害が世界的問題に 専門家が指摘「男女問わず人権侵害」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《もう家族でハワイに行けない…》“1.5億円の脱税疑惑”の宮崎麗果、“ESTA取得困難”で恒例の「セレブ旅行」は断念か SNSで「深い反省」示す
NEWSポストセブン
元旦に離婚を発表した吉岡美穂とIZAM(左・時事通信フォト)
《3児の母・吉岡美穂がIZAMと離婚》夫のために「“鬼嫁キャラ”を受け入れた妻の想い」離縁後の元夫婦の現在
NEWSポストセブン
2026年1月2日、皇居で行われた「新年一般参賀」での佳子さま(時事通信フォト)
《礼装では珍しい》佳子さまが新年一般参賀で着用、ウエストまわりに“ガーリー”なワンポイント 愛子さまは「正統的なリンクコーデ」を披露
NEWSポストセブン