ライフ

友人に貸した金の取り立て まずは居場所を確認、そして裁判

竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「友人に貸した金の返済請求をしたいのですが」と以下のような質問が寄せられた。

【質問】
友人に金を貸したのですが、返してくれないので困っています。返済請求のはがきを出したところ、住所が変わったらしく、戻ってきました。こういう場合、どのような返済請求の方法をとればいいでしょうか。貸し金は返済を請求しないと請求権がなくなると聞きましたが、その期間はどのくらいですか。

【回答】
通常、交渉で埒が明かない場合は、支払い督促や裁判の手続きをとります。そのためにはまず居所を確認する必要があります。転居したことが間違いなければ、従来の自宅を管轄する役所で住民票をとって、転居先を調べてください。あなたが債権者であることを示す資料を添えて申請すれば、転居先が記載された住民票の除票の交付を受けることができます。

住民票の変更がないなど、連絡先が分からなければ、もう交渉は不可能です。約束の期限から10年で貸付債権の時効期間が満了になり、その時点で友人が見つかっても、時効を主張されると請求できません。

権利を維持するためには、裁判が必要です。裁判では、原告が提出した訴状を被告に送って、反論の有無を確認して審理を進めるのが普通です。しかし、被告の居所が分からない場合には、公示送達という方法で訴状を送り、裁判手続きを実施することができます。申し立ての手続きは裁判所で相談してください。

この方法では、訴状が裁判所の掲示板に掲示されることで送達されたとして審理するのですから、実際には被告が法廷に来ることはありません。しかし、原告は、自分の権利を証明する資料等を証拠として提出するなどの立証活動をする必要があります。

裁判所から勝訴判決を受ければ、それから10年間は時効にかかりません。当分は借用書などの資料を保管して、友人の自発的申し出を待ち、債権が時効にかかる前に、裁判を提起して時効を中断するのがよいでしょう。

友人に不動産などの返済財源がある場合には、処分防止のため仮差押えをした上で、判決を得て強制執行することをお勧めします。但し、素人には無理ですから、弁護士に相談してください。

※週刊ポスト2012年1月27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

炊き出しボランティアのほとんどは、真面目な運営なのだが……(写真提供/イメージマート)
「昔はやんちゃだった」グループによる炊き出しボランティアに紛れ込む”不届きな輩たち” 一部で強引な資金調達を行う者や貧困ビジネスに誘うリクルーターも
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
藤浪晋太郎(左)に目をつけたのはDeNAの南場智子球団オーナー(時事通信フォト)
《藤浪晋太郎の“復活計画”が進行中》獲得決めたDeNAの南場智子球団オーナーの“勝算” DeNAのトレーニング施設『DOCK』で「科学的に再生させる方針」
週刊ポスト
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
「漫才&コント 二刀流No.1決定戦」と題したお笑い賞レース『ダブルインパクト』(番組公式HPより)
夏のお笑い賞レースがついに開催!漫才・コントの二刀流『ダブルインパクト』への期待と不安、“漫才とコントの境界線問題”は?
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン
韓国・李在明大統領の黒い交際疑惑(時事通信フォト)
「市長の執務室で机に土足の足を乗せてふんぞり返る男性と…」韓国・李在明大統領“マフィアと交際”疑惑のツーショットが拡散 蜜月を示す複数の情報も
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン