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熟した夕張メロンは地元では数百円 アライグマも手を突っ込む

まるで愛しい男性を一途に想う乙女のように、97才のフォトジャーナリスト・笹本恒子さんはラブコールを続けた。

「夕張市長の鈴木直道さんをぜひ取材してみたいです」

小誌『女性セブン』をはじめとする雑誌のインタビュー、新聞のコメント、テレビ・ラジオのトーク番組…。「取材したい人物は?」と聞かれると、毎回必ずそう答えていたのだ。

「私も笹本さんとぜひお会いしたいです」と小誌に連絡してきた鈴木直道・夕張市長(30)が照れながらいう。

「夕張でもだんだん話題になって、『早く会いに行かないと失礼だぞ』と周りから囃し立てられました」

笹本さんの思いが実って実現した今回の“日本一若い市長”との67才差特別対談。その一部をご紹介しよう。

笹本:「夕張の主な生産品は何ですか」

鈴木:「夕張メロンですね。生産額21億円くらいですが、1960年代は41億円だったので半減しました。夕張メロンが高価なのは傷みやすいからなんです。だから流通ルートが限られて価格が上がる。逆に出荷を待たず熟してしまった商品なら、地元では数百円で買えますよ」

笹本:「えーっ。ぜひ収穫シーズン(5~8月)にうかがわないと(笑い)」

鈴木:「自然も動物もすごいですよ。最近、シカが増えて農家さんが丹精込めて作った野菜を食べてしまう。アライグマは熟した夕張メロンに手を突っ込んで、きれいにくりぬいて食べる。だから見た目は丸いままで中身はスカスカになるんです(笑い)。他にもクマやタヌキなどがうじゃうじゃいますよ」

笹本:「そうですか。じゃあ食べ物には困りませんね」

鈴木:「(笑い)いやいや…」

笹本:「シカは50年前に食べたことがあるわ。ベーコンみたいにすれば匂いもなく長持ちするし、売れば収入になりますよ」

鈴木:「シカはフランス料理では高級食材みたいですけど、日本人はあんまり食べないですね。猟師も少なくなっている」

笹本:「メロンの足が早いなら、保存がきくジャムを作るのはどうですか。夕張メロンのジャムなら売れますよ。薄くスライスして、お砂糖漬けにしてもいいわね。戦争中は本当に何でも食べたから、私アイディアならいくらでも考えますよ」

鈴木:「そうですね。夕張に必要なのはお金を使わずにできるアイディア勝負」

笹本:「死ぬ気でやれば何だってできるっていいますよね。鈴木さんはまさにそう。これからまだ九十何年生きてゆけるわ」

鈴木:「えっ九十何年……。私は120才になります」

笹本:「そうよ。人間は125才まで生きられますから(笑い)」

※女性セブン2012年2月2日号

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