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実はバレエ大国日本 繊細な演技は世界のバレエ関係者が賞賛

 若手バレエダンサーの登竜門として知られるローザンヌ国際バレエコンクールで、菅井円加さん(17)が見事1位を勝ち取った。高校2年生の快挙に日本中が沸いたが、注意深くニュースを見ていたファンは、もっと別のところに驚いていた。

 日本人が最優秀に輝いたのは1989年の熊川哲也氏以来。菅井さんに注目が集まるのは当然だが、彼女の1位入賞以上に衝撃的だったのが同コンクールにおける日本人の「占有率」だった。

 事前審査を通過してコンクールに出場した79人のうち、日本人は最多の19人。決勝に駒を進めた21人の中にも、5人の日本人がいた。決勝進出者の4分の1を占めている。当の日本人が知らないだけで、わが国は世界屈指の「バレエ大国」なのだ。近年ではフランスなど本場の指導者も、日本の指導法に注目しているという。

 実はバレエと同様に、日本人が世界トップレベルの実力を持っている「意外なお家芸」はたくさんある。例えばクラシック音楽。昨年、佐渡裕氏がベルリンフィルハーモニー管弦楽団に客演指揮者として招かれたことが話題となったが、ベルリンフィルには3人の日本人が在籍している。

 その一人である樫本大進氏は、32歳にしてコンサートマスターの要職を務めている。3歳からヴァイオリンを習い始めた樫本氏は、ロン・ティボー国際コンクール、フォーバルスカラシップ・ストラディヴァリウスコンクールでともに第1位となるなど、数々の賞を総なめにした。

 その他、ニューヨークフィルハーモニーでは建部洋子さんがヴァイオリン奏者として活躍するなど、世界の一流オーケストラに日本人は多数在籍しており、なくてはならない存在になっている。2009年、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで日本人として初優勝した辻井伸行氏(23)など、若手の実力派も多い。

 前述したバレエやクラシック音楽に代表される芸術分野で日本の才能が台頭している背景には、幼少時からの「習い事文化」の浸透があるといわれている。少子化にもかかわらず、バレエ人口は急増している。昭和音楽大学舞台芸術センター・バレエ研究所の調査によれば、「日本全国に約5000のバレエ教室があり、競技人口は40万人に上る」(同研究所・稲田奈緒美准教授)という。舞踏評論家で東京女子大教授の佐々木涼子氏がいう。

「いまや有名なバレエ団では日本人がいないほうが珍しい。かつては“日本人が大挙してローザンヌを受けるなんて恥ずかしいこと”とヨーロッパから揶揄された時代もありました。しかしバレエ教室の浸透もあり、有能なダンサーが育つ素地ができてきた。日本人特有の繊細な演技は世界のバレエ関係者からも一目置かれている」

※週刊ポスト2012年2月24日号

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