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熟女人気の背景に女子高生の行儀悪さと生意気イメージある説

 セックスに貪欲な肉食系美熟女が台頭する中、清楚かつ控えめでありながら、それでもエロスのムードが漂う――。

 そんな美熟女写真集を発売しているのが、「富士出版」だ。『白い下着の人妻』や『三十路の女』『みだれ髪の女』など、タイトルも古き良き時代の文学書を連想させる。週刊誌の広告でもおなじみだ。

 埼玉県川越市にある同社を訪ね、社長から話をきいた。

「設立は1987年頃。最初は若いモデルを使ったヌード写真集を出していました。ところが、読者からもっと上の世代を出演させてほしいという要望が多数寄せられました」

 富士出版は当初から通販専門、顧客は中高年層が中心だ。彼らは異口同音に、「若い子だと楽しめない」「実の娘や孫の裸を見ているようだ」と意見を述べた。社長は続ける。

「熟女は、中高年層にとって手の届きそうな親近感を抱かせ、それが妄想をかきたてる要因になるんです」

 1995年あたりから、美熟女路線に特化した。奇しくも同時期、美熟女に注目が集まりだした。

 ちなみに、当時37歳だった社長は今年54歳。読者の心情がよく理解できるようになってきた。

「20代前半の若いモデルだと、ヌードを見ても感情移入しにくい。中高年が声をかけてもセックスまで応じてくれるわけがないとか、会話をしても、世代差があってつまらないだろうと考えてしまうんですね。あと、昨今の女子高生たちは行儀が悪いし、生意気なイメージが強い。彼女たちへの反感も強くなっていきます」

 モデルは、「ヌードになってくださる熟女との出会いを大事にしている」とのことで、大々的に募集はかけない。基本は「知り合いからの紹介」だ。たまに、自ら出演したいとやってくる美熟女もいるという。

「読者の反応がいいのは、スレンダーよりも、肉感的でふくよかなタイプですね。撮影は“昭和の大人の女”“昭和の人妻”という懐かしいイメージで行なっています。編集に際しては、ページをめくるたびに物語が進み、読者の妄想もかきたてられるように工夫しています」

 なるほど、社長のポリシーはどの美熟女写真集にも共通している。

「スタッフは私を含めて少数精鋭主義です。だから年に1冊か2冊というペースになってしまいます」

 富士出版は今では珍しく自社のホームページを開設していない。開業以来、出版情報は新聞や雑誌広告に限り、販売は通販のみ。価格は1万円前後と、他のヌードメディアに比べたら高価だ。そのどれもが、作品同様に深窓の熟女夫人を思わせる。

「通販は読者の声が集まりやすいのがメリットですね。動画も扱うつもりでいます。でも、絡みや濡れ場シーンを排除して、恋愛小説風にモデルがひとり芝居をうったようなものにしたいんです」

※週刊ポスト2012年3月30日号

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