日本画の歴史は1300年以上ともいわれ、古来、日本人の伝統芸術として親しまれてきた。その日本画の世界で、実力と美しさを兼ね備えた若手女流画家たちが、めざましい活躍をしている。
その中のひとり、定家亜由子さんは、「写生が与えてくれる、ざわざわとした高ぶりを伝えたい」と創作活動への思いを語る。
「日本画で一番大切なのは写生だと思っています。『生を写す』と書くそれは、命のエネルギーに溢れ、相当な情報量を与えてくれる。私自身も命に喜び高ぶってざわざわしてきます。
しかし、その混沌も時間をかけて写生をするうちに、被写体と鼓動や呼吸が重なってひとつになり、穏やかなものに変わる瞬間があります。その感覚を作品に落とし込みたいのです」
【プロフィール】
さだいえ・あゆこ 1982年滋賀県生まれ。2008年京都市立芸術大学大学院修了。大学院卒業作品展大学院市長賞など受賞。6月22~24日まで京都市みやこめっせにて個展を開催。
撮影■ヤナガワゴーッ!
※週刊ポスト2012年6月22日号