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「国民の生活が第一」という党名から私たちは何を学ぶべきか

 支持者をのぞけば国民の大半が驚いたと思われる小沢新党「国民の生活が第一」というネーミングについて、大人力コラムニストの石原壮一郎氏が説く。

 * * *
 初めて党名を聞いたときは、冗談かと思った人が多いのではないでしょうか。小沢一郎衆議院議員を中心に、民主党を離党した49人の国会議員が集結して7月11日に結成されたのが、付けも付けたり「国民の生活が第一」という名前の政党です。たくさんの候補の中から、最終的には小沢一郎氏の判断でこの名前になったとか。

 政党なり政治家なりは、やり方はそれぞれでも、第一に「国民の生活」の安定や向上考えるのは当たり前。そりゃ、実際は「保身や権力闘争が第一」で活動しているようにしか見えませんが、大前提の建前をわざわざ党名に掲げるところに、むしろウソ臭さやウサン臭さを感じてしまわずにはいられません。

 ほかの例に当てはめつつ、聞こえのいいフレーズを強調すると、いかにウソ臭くなるかを見てみましょう。たとえば、料理店で「レストランテ・料理のおいしさが第一」なんて名前の店があったら、ぜんぜんおいしそうには思えない上、やたら説教臭いシェフが出てきそうです。いくら家賃が割安でも「メゾン快適な環境が第一」という名前のアパートには入りたくないし、「安全な運行が第一丸」という名前のフェリーにはなんか心配で乗る気がしません。もし「局部の快感が第一」という店名の風俗店を見かけたとしても……ま、これはこれで興味をそそられますね。

 人間関係でも同様です。「俺はお前の第一の親友だから」なんてことを口にするヤツが本当に親友だった試しはないし、女性もしくは上司に「あなたのことを第一に考えているから」と言われたら「なるほど、それほど大事に思われてないってことか」と解釈したくなるでしょう。話題沸騰中のあの市長が、真剣な表情で「自分にとっては、妻との時間が第一」と強調したとしたら、マスコミは第二のスキャンダルの存在を確信して取材を始めるに違いありません。

 残念ながら「国民の生活が第一」という党名は、ことほど左様にマイナスの印象を振りまいてしまっています。もし本気で言っているとしたら、じつにもったいない話です。大人としては以って他山の石となし、当たり前のことを強調する危険性や、大事なことほど奥ゆかしく伝える大切さを学ばせてもらいましょう。

 ただ、もしかしたら、ウソ臭さやウサン臭さが漂うのは承知の上で、遠回しに「政治になんてそんなに期待してもらったら困るけど、建前上なるべくちゃんとしますよ」というメッセージを発しているのかも。今後、この個性的な党名がどう受け止められて、党の先行きがどうなっていくのか、横目でチラチラと観察させていただきましょう。


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