ライフ

いじめっ子の脳は他人の苦しみを見ると喜び感じる回路あり説

『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)でおなじみの脳科学者・澤口俊之さんが“いじめ”問題について脳科学の観点から分析した。以下は澤口氏の解説だ。

 * * *
 最近の「いじめ」に関する報道をみていると、本当に憤りを感じます。ひとりの少年の命が失われたにもかかわらず、同じようないじめが今日もまたどこかで起きている。いったい、なぜいじめは繰り返されるのでしょうか。

 まずは、脳科学的にアプローチしてみましょう。

 最初におことわりしておきたいのは、これから紹介するのはあくまで学術的な研究によって明らかにされてきた事実や結果であって、いわゆる“いじめっ子”のすべてにあてはまる話ではないということです。いわば、極端な例といってもいいでしょう。

 これまで世界でなされた研究の結果として、ある特徴を持つ脳が“いじめ”ともいえる行動をとることがわかっています。

 それは、前頭前野や扁桃体、側頭葉が8~16%程度萎縮している脳で、反社会的、攻撃的、反抗的な行動パターンをとる特徴があります。相手の体や心の痛みを感じることができず、痛めつけることで快感を得るという特徴もあり、「行為障害(CD)」という病気と診断されます。

 2008年、当時シカゴ大学の心理学者だったベンジャミン・レイヒー氏は、すぐケンカを始める、弱い者をいじめる、物を壊してはしゃぐ、平気で嘘をつくなどの行動をとりがちな少年らの脳をスキャンして調査し、その研究結果を発表しました。それは、

「こうしたいじめっ子の脳には、他人の苦しみを見ると喜びを感じる回路が備わっているかもしれない」

 という衝撃的な内容でした。

 人は本来、他人の苦悩を目撃すると、自分が苦痛を経験したときと同じ脳領域が活性化され、“心”で痛みを感じます。ところが、彼らの脳で活性化したのは、報酬や喜びに関係すると考えられている扁桃体などだったというのです。

 ちなみに、この行為障害が18才以降に見られる場合は、「反社会的人格障害(ASPD)」と呼びます。ASPDは、自分の利益や快楽のために人をだましたり、攻撃性が強く、ケンカや暴力を繰り返すといわれます。法律に違反する行為を繰り返して逮捕されることもあります。

 なぜ、私がこうした例を挙げたのかというと、幼いうちに対処しておくことで、CDやASPDは改善できるため、子供の将来のためにも脳を検査する選択肢があることを知っていただきたかったからです。

※女性セブン2012年8月23・30日号

関連記事

トピックス

大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
“進次郎劇場”で自民党への逆風は止まったか
《進次郎劇場で支持率反転》自民党内に高まる「衆参ダブル選挙をやれば勝てる」の声 自民党の参院選情勢調査では与党で61議席、過半数を12議席上回る予測
週刊ポスト
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト